武道館チケットは即日完売、熱狂的なファンを持ち、多くの若手ミュージシャンからも敬愛されるロックバンド、the pillows(ピロウズ)。彼らの結成30周年記念映画『王様になれ』(9月13日よりシネマート新宿ほかにて公開)で主演を務めるのが、若手個性派俳優の筆頭株、岡山天音(25)である。
「バンド映画だと聞いてギターをめっちゃ練習しなくちゃみたいなことが頭をよぎったんですけど、台本を読んだら全然違う話で。そこが面白い企画だと思いました」(岡山・以下同)
本作が描くのは、ピロウズの音楽を愛し共に生きてゆく人々。岡山が演じるカメラマン志望の祐介は、ラーメン店で働きながら好きになった彼女がファンだというピロウズを知り、彼らの写真を撮ることで夢に一歩ずつ近づいてゆく。
「この作品は日常から飛躍している箇所がない分、お客さんがリンクしやすい。安易に演じるのではなく生々しさというか、今隣で一緒に映画を見ている人が祐介かもしれないと感じてもらえれば」
原案を手がけたボーカルの山中さわお(50)は、現場にもよく見学に訪れ、岡山とも共演を果たした。
「共演しているときはさわおさんがすごく照れていましたが、監督の横でモニターを見られているときは僕のほうが緊張しましたね」
“好きな人が好きなものを好きになる”のは、恋愛あるあるだが、岡山自身はどうだろうか。
「僕も好きになった人のことは知りたいから、音楽もそうですがその人が何を好きかいろいろ聞きたくなります。家に遊びに行ったら本棚とか絶対に見ちゃいますね」
祐介には写真学校の同期で売れっ子カメラマンのライバルがいる。岡山自身は俳優の山崎賢人と「前世では1人だった」というほどの大の親友だというが、一方で同世代の俳優への競争心はあるのか。
「めっちゃあります。あの役やりたかったとか、この役は俺がやれてよかったとか。基本的には目の前にある仕事で手いっぱいでそっちのノイズに侵されることはないんですが、嫉妬とか焦りは感じますね。でも、おまえいいのやってんなとかは言えない。ガチすぎて(笑)」
今年で俳優生活10年目を迎えるそうだが、挑戦してみたい役は?
「こういう役をやりたいと探す前に、本当にいろんなジャンルの現場に立たせてもらえてきた気がします。最近、ちょっとずつ物語の核に近付いている役が増えてきたんです。でも、そこを担う筋力が意外となかったりするので、もっとトライして丁寧に一つ一つの結果を重ねていければいいですね」