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2018年7月に事実婚を発表した、はあちゅうと、しみけん。活躍する業界もファン層も違う異色夫婦が、「これ、どうする?」「あれ、どう思ってる?」を赤裸々に語り合う本誌連載「家族会議 議事録」。夫妻には先日、第1子が誕生。第8回は、出産直前の対談で、妊婦の苦労を語ってくれました。

 

 

はあちゅう「妊婦がなによりつらいことって、なんだと思う?」

 

しみけん「つわりとか、はあちゅうが患ってた妊娠糖尿病(※)とか?」

 

はあちゅう「私の場合は、『体が重いこと』だよ。物理的に。重いから疲れやすい。動きたくない。だからやる気が起きない。自由を奪われた感じがするんだよね。子供を産んだ人って『本当に偉いな』って思うよ。これを全部乗り越えてきたんだから」

 

しみけん「夫としてできることは……、外で美味しいご飯を食べても、写メ撮って妊婦に送ったりしないこと?」

 

はあちゅう「送ってきたじゃん(笑)」

 

しみけん「あれでも全会食の10分の1くらいだよ」

 

はあちゅう「食べ物の写真は、全然大丈夫。けんちゃんがやってくれて嬉しかったのは、室温調節を私に合わせてくれることかな。妊婦って超暑がりだから。エアコンの温度をどんどん下げて、けんちゃんはぶるぶる震えてるのに、私がまだ暑いって言ったらさらに下げてくれて、自分は1枚羽織ってくれたりね。外出するときに荷物持ってくれたり、私のために扇風機持ち歩いてくれたりもした」

 

しみけん「そ、そうか(照)」

 

はあちゅう「夜中に、私が足をつったときに起きてくれたのも嬉しかった。妊婦って足がつるんだよね」

 

しみけん「夜中に『うわーーー』って大声出すから、産まれるのかと思ったんだよ(笑)」

 

はあちゅう「よく『憧れの妊婦はどうですか』って聞かれるけど、想像と現実は全然違ったよ」

 

しみけん「AVデビューした新人のコがよく、『3人でするのに興味あります』って言うんだけど、終わってから「憧れの3人はどうだった?』って聞いてみると、『忙しくて大変でした……』って言うのと一緒か」

 

はあちゅう「たとえ方(笑)。ただ、いまも不妊治療している方の前で、妊娠の苦労ってなかなか言えないし、ブログにちらっと弱音を吐いても『そんな苦労は、子供が生まれたら全部消し飛びますよ』って言われちゃう。たしかにそうかもしれないけど、実際に、いま真っ最中でつらいことはつらいんだよね。『もっと気楽に発信できたらいいのに』って思う」

 

しみけん「発信することで、議論のスタートにもなるし」

 

はあちゅう「私の母親の世代は、帝王切開が『恥ずかしい』とされていたんだって。妊娠や出産に関して、人に言えなくて当事者だけがつらいってことは、昔も今もたくさんある。そういうのを、発信していきたい気持ちがとても強くなったよ」

 

しみけん「いまは多くの女性が働いている状態で妊娠するから、体が重くて疲れやすくなれば、当然仕事にも影響が出るよね」

 

はあちゅう「ほんとそう! 私は書く仕事が多いから、どこかに出勤するわけじゃない。自主的に机に向かう必要がある。なのに、その気力が全然湧かない。何が怖いって、いままで『外へ外へ』行っていた意識が、『内へ内へ』向かってることだよ。いままで関心のあったことから、関心が消えちゃう。性格も変わる。人と会うのも億劫になるし」

 

しみけん「妊娠すると、いままで仕事をオファーしてきた側も、オファー自体を遠慮するようになるのか」

 

はあちゅう「うん。大きいものだと、お酒とか生理用品の案件がなくなっちゃったし、移動をともなう旅行系の案件もダメ。女性誌のファッション系の案件も、妊婦は体形が違うので外されちゃう。明らかにお仕事の問い合わせメールが減った。それはけっこう不安だな。日々、『転職先が決まってない人』みたいな気持ちで生きてる」

 

しみけん「働き方自体を変える必要があるわけだ」

 

はあちゅう「 “インフルエンサー戦国時代” の渦中にいたときの自分とは、環境もスタンスもだいぶ違ってきちゃってる。SNSの更新・閲覧頻度も激減したから、それに合わせて発信方法もガラッと変えていかなきゃいけない。そういうのがすべて現在進行形で、何もかもが手探りなの。怖いといえば、怖いかな」

 

しみけん「いまは、『働きたいけど体がついてこない』のか、『そろそろ仕事はもういいや』って気分なのか、どっち?」

 

はあちゅう「どっちもかなぁ……。体がついてこないことだけで言うなら、数時間の登壇くらいであれば、座ってならできるけど、なかなかそういう仕事は来ない。一方で、『このまま引退』を妄想することもあるよ。けんちゃんが稼げているという事実が精神的な支柱になってるけど」

 

しみけん「産まれたら産まれたで、体は物理的に軽くなるから、体の自由は取り戻せるかもしれないけど、今度は時間の自由がなくなる」

 

はあちゅう「だから、働き方から何から、全部変えなきゃいけない。つくづく『子供を産む』って、人生のなかで本当に大きい出来事なんだなって思う。文字どおり、自分がまるごと生まれ変わるような感覚だよ。ただ……」

 

しみけん「なに?」

 

はあちゅう「私は幸運なことに、数カ月の妊活で授かることができたけど、もしいま授かっていなかったとしても、年齢的な天井が来るまでは、不妊治療を続けると思うんだ。『子供が欲しい』という気持ちは諦められないし、けんちゃんと私のDNAの掛け合わせが、いったいどうなるのか、すごく知りたい。確かめたい」

 

しみけん「それは僕も同じだ!(笑)」

 

はあちゅう「だからね、子供が欲しくてたまらない人の気持ちは、すごくよくわかるんだよ」

 

※妊娠糖尿病/はあちゅうが発症した、妊娠がきっかけで起こる糖尿病。毎食前にサプリメントで血糖値上昇を抑え、一日4回、自分で針を刺して血糖値測定していた。

 

【はあちゅう】
1986年、神奈川県生まれ 慶應大学在学中より、ブロガー活動を開始。会社員経験を経て、2014年、フリーに。ブログ「旦那観察日記」で、夫婦生活を鋭意発信中。

 

【しみけん】
1979年、千葉県生まれ 1998年にAVデビューし、出演本数は約1万本の現役AV男優。最新刊『しみけん式「超」SEXメソッド』(笠倉出版社)が発売中

 

取材&構成・稲田豊史

(週刊FLASH 2019年10月15日号)

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