火災現場となった首里城の北殿(左)、正殿(中央)、南殿(右)、奉神門(手前の燃えていない建物)=31日午後1時32分、那覇市首里 画像を見る

 

31日火災で焼失した首里城。防災設備は消火器や屋内消火栓、屋内消火栓ポンプユニット、放水銃、ドレンチャー設備などがあったが、スプリンクラーなどの消火設備は設置されていなかった。那覇市消防局によると、消防法によるスプリンクラーの設置義務はないが、文部科学省は今年9月に文化財にスプリンクラーの設置を推奨する文書を配布した。指定管理者の美ら島財団首里城公園管理部首里城事業課の町田宗紀課長は文書について「把握していない」と述べた。沖縄総合事務局がスプリンクラーなどの消火設備が設置されなかった経緯などについて確認を急いでいる。

 

ドレンチャー設備は文化財構造物の屋根下などから水を流して膜を作り、火災を遮断する延焼防止設備。首里城には74個設置されているが、今回稼働したかは分かっていない。放水銃は正殿の正面(西側)に2組、北側、東側、南側に各1組の計5組が設置されているが、今回の警備員による初動対応では使用されなかった。

 

那覇市消防局や那覇署によると、火災発生時の敷地内には警備員3人がいた。午前2時34分に正殿の防犯センサーが作動し、警備員が駆け付けると、正殿内で煙が上がっていたという。火災訓練は2018年12月に行われており、今年の訓練も12月を予定していた。消火設備などの点検は19年3月に実施した。その際、設備に不具合や異常などは確認されなかった。

 

国宝や重要文化財に指定されている建物は、消防法や文化財保護法に基づく防火対策が義務付けられている。首里城は2000年に世界遺産に登録されたが、復元された正殿などは対象ではなく、防火対策の対象外となっている。首里城正殿などの有料区域は19年2月、国から県に管理が移行された。県は19年2月1日から23年1月31日までの間、沖縄美ら島財団を指定管理者に指定している。施設の所有権者は国で、県は国有財産使用料として年間約2億円を国に支払っている。

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