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11月13日、野球の国際大会「プレミア12」のスーパーラウンド第8戦が終わり、日本は3-1でメキシコに勝利した。11月3日の開幕以降、試合結果は連日、ニュースを賑やかせている。国際試合の楽しみはどこにあるのか。noteで5万人以上のフォロワーを擁し、2年以上に渡りnoteでプロ野球論を書き続けてきた最所あさみさんから話を聞いた。

 

■プレミア12、ファン心理は“選手の普段と違う一面”に注目

 

日頃プロ野球を見慣れているファンにとって、国際試合の楽しみのひとつは自分の好きな選手が普段とは違う起用をされる点にあります。たとえば今回のプレミア12でいえば、普段はショートの坂本勇人が三塁に立ち、山田哲人がファーストを守るなど守備位置の変更。プロとはいえ、慣れないポジションを守る姿には『うちの子はうまくやれるだろうか』と我が子を見守るような気持ちにさせられました。また投手陣も、各チームで開幕投手を務めるレベルの選手が第二先発や中継ぎとしてベンチに入っており、普段は見られない起用でどう活躍してくれるのか目が離せませんでした。

 

■球団の垣根を超えた“一体感”でファンの熱気が生まれる

 

ドリームチームという点では毎年オールスターゲームがありますが、本気で勝ち負けを意識したゲームは国際試合ならでは。レギュラーシーズンで苦しめられてきた他球団の選手が味方にいる心強さを感じながら、自分ならどんな打順を組み、どんな采配をするかを考えながら見るのはプロ野球ファンの醍醐味ともいえます。現地で試合を見るなら、普段はひやひやしながら聞いていた他球団の選手の応援歌も大声で歌うことができるし、色とりどりの球団タオルが並ぶ姿も圧巻。プロ野球ファンが一致団結して、共に応援し、祈り、狂喜乱舞できるイベントは、やはり特別な体験だと思います。

 

■国際試合は“にわかファン”勧誘の契機に

 

「一体感」という意味では、国際試合は日の丸を背負って戦う大会だからこそ新たなファンを獲得する絶好の機会でもあります。先日ラグビーW杯で「にわかファン」が話題になりましたが、野球もこうしたお祭りを活用してライトファンを獲得していく動きが必要だと感じています。

 

実際に私もこうした国際試合のタイミングで友人を観戦に連れて行き、イケメン選手を紹介したり選手のエピソードを語って「にわかファン」を増やす活動に勤しんでいます。

 

今回であれば育成出身から日本代表選手まで上り詰めた甲斐や周東、「投げる哲学者」の異名を持つ今永など選手のエピソードを語ることで、競技ではない面から興味を持ち、選手のファンになった結果として野球自体のファンになっていく流れはいかようにも作れるはずです。

 

高校野球のように、出場にいたるまでの軌跡や試合にかける思いなど選手個々人の物語をコンテンツとして発信する機会が増えたら、もっとライトファンも増えていくのではないかと思っています。

 

■選手自らSNS広報に ファン巻き込む展開へ

 

試合以外のコンテンツでいうと、球団を越えて交流している姿を垣間見えるのもプロ野球ファンにとって注目ポイントのひとつではないでしょうか。その楽しみを支えているのがプレミア12広報担当こと山崎康晃のTwitter。代表選手との移動中や食事中などのオフショットに丁寧な解説をつけたツイートは、オフシーズンに入って暇を持て余しているプロ野球ファンの五臓六腑に染み渡っています。

 

そして何より、オフシーズンに入っても野球が見られる喜びを感じながら、今日もまた選手たちを応援していきたいと思います。

 

【PROFILE】

最所あさみ(さいしょ・あさみ)/ Retail Futurist・noteプロデューサー

大手百貨店入社後、ベンチャー企業を経て2017年独立。ニューリテールにまつわるコンサルティングや執筆、コミュニティマネジメント、イベントプロデュースを行う。

またnote有料マガジンを通して独自の考察や海外事例の紹介、小売や店舗を軸にしたコミュニティ運営を行う。2019年7月よりnoteプロデューサーに就任。ブランドや店舗オーナーがnoteを通して発信し、顧客とコミュニケーションをとる活動を支援する。

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