(写真:アフロ) 画像を見る

2018年5月6日に起きた日本大学フェニックスの反則タックル事件から1年半。大学アメリカンフットボールのシーズンも佳境を迎え、活動停止を経た日大フェニックスも1シーズンぶりの公式戦で戦っている。

 

事件当時は関東大学アメフトの1部リーグにあたるTOP8に所属していた日大。活動停止中に実質的な2部リーグにあたるBIG8に降格してしまったが、一昨年、下級生を中心に大学日本一に輝いた強さは健在。無敗のままBIG8のトップをひた走っている。

 

だが、タックルを行った宮川泰介選手はいまだ試合への出場がない。4年生となり、日大フェニックスの副将に任命された宮川選手。関東学生連盟から公式戦への復帰を認められてはいるが、傷害容疑で書類送検され、検察の判断を待つ身でもある。タックルを受けた関西学院大学の選手とは示談が成立しているので、不起訴になる見通しだが、検察の最終判断までは試合には出さないという方針をチームはとっている。そのため、フィールドに立つことがかなわないのだ。日大アメフト部のOBはこう語る。

 

「試合ではサイドラインで、試合の運営を手伝っていました。しっかりと防具をつけていつでも試合に出られる格好で、出場機会がなくても腐った様子を見せず声を出していました。練習も粛々とやっているそう。もともとU‐19日本代表に選出された選手ですから、実力に関しては部内でもトップレベルみたいです」

 

だが、4年生の宮川選手にはタイムリミットが迫っている。しかも“ある事件”のために、タイムリミットが短くなってしまいそうなのだ。

 

通常であれば全7試合のリーグ戦を経てBIG8の1位のチームとTOP8の8位のチーム、同2位のチームと7位のチームの入れ替え戦が12月中旬に行われる。11月14日時点で、日大フェニックスは5勝0敗でBIG8単独1位。まだ2試合を残してはいるが、ここまでの危なげない戦いぶりから考えれば1位のままBIG8のリーグ戦を終える可能性も高い。しかし、今年はBIG8の1位とTOP8の8位の入れ替え戦は行われないのだ。大学アメフト関係者が語る。

 

「理由は、夏合宿中に女子風呂を盗撮したという慶應義塾大学アメリカンフットボール部の不祥事です。問題発覚を受けて、10月から慶應大はリーグ戦を辞退。その時点で2勝1敗につけていましたが、その成績は認められずにTOP8最下位として自動降格することに。したがって、BIG8の1位のチームは自動昇格となります。昨年も日大が不祥事で自動降格し、東京大学が自動昇格しました。2年連続で入れ替え戦が1試合しか行われない異常事態で、本当に恥ずかしい限りです」

 

日大のリーグ戦は11月17日の横浜国立大学戦、12月1日の桜美林大学戦を残すのみばかり。両チームともにBIG8の強豪だけに油断はできない相手だが、仮に日大が2連勝した場合は自動昇格が決まり、宮川選手の大学アメフト生活はその時点で終わることに。もちろんシーズン後に交流試合のようなものが組まれる可能性はあるが、公式戦の出場機会はもうない。

 

14日、東京地検立川支部が、内田正人前監督と井上奨元コーチ、そして宮川選手の3人を嫌疑不十分で不起訴処分にする方針を固めたことが報じられた。宮川選手の大学最終シーズンでの出場は叶うのか。タイムリミットは残り2試合だ。

【関連画像】

関連カテゴリー: