NHK杯では大差で優勝した羽生(写真:時事通信) 画像を見る

絶対王者の“復活”に日本中が歓喜している――。11月22日から北海道で行われたグランプリシリーズ・NHK杯に出場した羽生結弦(24)。ショートプログラムでは完璧な演技で109.34点を叩き出し、翌日のフリーでも195.71点を記録。2位と50点差という大差で優勝し、12月のグランプリファイナルへの切符も手にした。フリー後に羽生は悔しさをにじませながらこう語った。

 

「今日の演技は、とりあえずいいかな……と。自分の健康が本当に無事にここまでこれたので、皆さんがいたるところで祈ってくださったお陰だなと思っています」

 

今年3月の世界選手権でネイサン・チェン選手(20)に敗れてから8カ月。10月下旬に行われたグランプリシリーズ・カナダ杯では今季世界最高得点で優勝するなど、復調の兆しを見せる羽生。その陰で、彼は“変化の時”を迎えていた。

 

「羽生選手はこれまで『次は僕が表彰台の真ん中に立つ』『はっきり言って負けは死も同然』というように、強気な発言で自分を鼓舞することが多かったです。しかし、今シーズンは冷静なコメントが多いように思います。また後輩とも積極的にコミュニケーションを取るようになったといいます。NHK杯前日の会見では後輩選手にアドバイスを送り、集まった記者たちを驚かせていました」(フィギュアライター)

 

実際、羽生は前出のカナダ杯での試合後にこう語っている。

 

「毎回、毎回、違う感情やコンディションをどうマネジメントするかを、今はすごく考えています。感情だけで動けた昔とは違い、ある程度気持ちを抑えたうえで、大会へピークをもっていかなければいけない。そういう壁のようなものが見えていて、それを越えたいという自分がいます」

 

フィギュアスケート評論家の佐野稔さんは、羽生の変化についてこう語る。

 

「強気な発言一辺倒でなくなったのは、大人になったということではないでしょうか。羽生選手の中では相変わらず闘志を燃やしているはずですが、人前で見せないようにしているのだと思います。今までよりも感情をコントロールするのがうまくなったということでしょう」

 

さらに、これまで「次のことは考えられない」と態度を明らかにしていなかった’22年の北京冬季五輪についても心境の変化が。今シーズン初戦となった9月のオータムクラシックで羽生はこう語っている。

 

「(そのシーズンまで)やっていたら出ます。それ(北京五輪)までやっているんだったら、たぶん4回転アクセルを目指しながらやっていると思います。常に強い自分でありつつ、その先に五輪があったらいいと思います」

 

初めて北京五輪への挑戦する意思をほのめかした羽生。果たして3年後に金メダルを手にするのは羽生か、チェンか。それとも――。

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