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小雨が降るなか、傘を手にしたグレーのロングドレス姿の雅子さまは、玉砂利が敷かれた明治天皇陵の参道をゆっくりと歩まれる。そして木立に囲まれた天皇陵の前へ。雅子さまは玉串を供えて深々と礼拝された――。

 

天皇皇后両陛下は、11月26日から28日にかけて奈良県と京都府を訪問された。神武天皇陵と孝明天皇陵、明治天皇陵に、即位の礼と大嘗祭を終えたことを報告する「親謁の儀」に臨まれたのだ。

 

「本当に両陛下とも、にこやかでいらっしゃいました。皇后さまは、ご結婚されたころにお会いした印象と比べても、いまのお立場にふさわしい雰囲気を感じました」

 

そう語るのは、藤原俊成・定家を祖とする冷泉家25代目当主夫人・冷泉貴実子さん。

 

「公家の末裔の方々と一緒に、京都御所で両陛下をお出迎え、お見送りいたしました。主人(当主の為人さん)が『皇后陛下はいつも笑顔で、国民もたいへん喜んでいます』とお伝えすると、うなずいてくださいました」

 

沿道には大勢の市民がつめかけた奈良・京都ご訪問だったが、これに先立って25日にも注目を集める出来事があった。天皇陛下とローマ教皇フランシスコの会談が実現したのだ。

 

ローマ教皇の来日は、ヨハネ・パウロ2世以来、実に38年ぶり。陛下は教皇とどういった会話を交わされたのだろうか。

 

「教皇は最初の挨拶で、幼少のころから日本の天皇家に尊敬の念を抱いていたと話しました。陛下は、教皇が被爆地である広島と長崎を訪れたことに感謝し、『人々の幸福と世界の平和のために精力的に活動されていることに深い敬意を表します』とお伝えになりました」(宮内庁関係者)

 

さらに陛下がライフワークの水問題について話題にされると、教皇は強い関心を示し、こう答えた。

 

「水問題については、次の戦争は水を巡る戦争であるともいわれています。重要なことは人々が環境問題に強い問題意識をもつこと」

 

「若い人たちも施政者たちも、ともに行動する必要があります」

 

約20分という限られた時間で、心を通じ合わせた天皇陛下と教皇。しかし、雅子さまはなぜ同席されなかったのだろうか?

 

「あくまで儀礼上のルールにのっとった決定です。賓客に配偶者がいない場合、天皇陛下は原則として一対一でお会いになります。ただ、雅子さまは以前から難民問題や環境問題に非常に強い関心をお持ちでした。ローマ教皇とお会いになれば、きっと意気投合されたはずです」(前出・宮内庁関係者)

 

雅子さまは、昨年の誕生日にあたっての文書でも《内戦や紛争の影響が、特に子供をはじめとする弱い立場の人々に大きく及んでいる現状を深く憂慮しております》と、世界の子供の人権問題に言及。さらに《地球温暖化や環境汚染など、国際社会が一致して取り組む必要のある課題が多岐にわたっています》と、環境問題への対応を強く訴えられていた。これらの問題意識は、フランシスコ教皇の活動ともぴったりと重なるのだ。

 

今回の訪問にあたっての面会はかなわなかった。しかし、教皇からは雅子さまへの熱烈な“ラブコール”があったという。

 

「天皇陛下は、’84年にバチカンを訪問され、ヨハネ・パウロ2世と面会した思い出を語られました。すると教皇は『私は3年ほど前、バチカンに秋篠宮ご夫妻をお迎えいたしました。次回は両陛下をお迎えできれば光栄です』と、両陛下をバチカンに招きたいとの意向を示したのです」

 

さらに教皇は「皇后陛下にもよろしくお伝えください」と、会見の終わりと、南車寄せでの挨拶の2回にわたって雅子さまへのメッセージを託されたという。皇室ジャーナリストは、こうした気づかいに教皇の雅子さまへの思いが表れていると語る。

 

「フランシスコ教皇は、雅子さまが長年にわたり適応障害に苦しまれてきたことも当然知っています。むしろ、そういったつらい経験をされた雅子さまだからこそ、世界中の人々に“勇気と希望”を届けられる――。教皇は、そういった思いで、雅子さまとのバチカンでの会見を希望したのでしょう」

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