【沖縄・宜野湾】園児が遊具や砂場で遊ぶにぎやかな園庭。突然米軍機の「ゴー」という轟音(ごうおん)が周辺を支配し、園児は上空を見上げたり、耳をふさいだり。2年前に米軍機部品が落下した緑ヶ丘保育園(宜野湾市野嵩)の日常だが、保育士の瑞慶覧愛美さん(28)=中城村=は事故を機に「日常ではない」と気付かされた。園が求める園上空の飛行禁止は無視され、「声を上げても変わらないのは悔しい」と話す。
事故時、瑞慶覧さんは室内でクリスマスツリーを作っていた2歳児4~5人を連れ、外で遊ばせようと庭にゴザを敷いていた。背後で「ドン」という鈍い音がし、振り向くと何か物体が跳ねる様子を目撃した。上空でヘリが北向けに飛んでいく音を覚えている。
何が起きたのか分からない中、神谷武宏園長に報告。園から警察へ通報後、警官や報道陣が押し寄せ物々しい雰囲気に。園児を驚かさないようカーテンを閉めた。部品が落下したというニュースに驚き、園に駆け付けた母親は子どもの無事を確認し号泣していた。
屋根の真下は当時、1歳児が庭に出るため靴を履いていた。「少しずれていたら当たっていた。背筋が凍った」。事故以降、保護者が「チーム緑ヶ丘1207」として活動する姿などに接し、自分事として改めて捉え公の場でも発言するように。米軍機が飛ぶと体がこわばったり、泣き叫んで飛びついたりする子もいる。
事故後、部品落下について園に「保育士がやったんだろ」と誹謗(ひぼう)中傷の電話も殺到した。「園児の世話で必死なのに物なんて落とせない」と憤る。できる限り学校などの上空を飛ばないとする日米合意や、深夜は飛ばないとする騒音防止協定について米軍に「最低限の約束事は守ってほしい」と求めた。「園児が安全に外で遊べる環境になればいい」。当たり前の日常を求めている。
(金良孝矢)