琉球大理学部動物生態学研究室、NPOどうぶつたちの病院沖縄、国立環境研究所は12日、国頭村北部の森林で採取したイエネコのふんの中から、絶滅危惧種のオキナワトゲネズミの骨や爪などが高頻度で確認されたと発表した。道路で採取した全てのふん(36個)の61.6%、中でも重点調査区間である西銘岳で採取したふん(28個体)では71.4%からオキナワトゲネズミが確認された。調査チームは「イエネコがオキナワトゲネズミに大きな捕食圧をかけていることを示唆している」と警鐘を鳴らしている。
調査は2017年9月から18年2月に採取したイエネコのふんと、13年から18年に国頭村で捕獲・救護されたイエネコのふん七つを用いて内容物を分析した。オキナワトゲネズミの歯や毛などが確認された。他にも琉球列島固有種のケナガネズミも16.7%、ヤンバルクイナも2.8%確認された。一つのふんからオキナワトゲネズミ、ケナガネズミ、ヤンバルクイナの希少動物3種が確認された事例もあった。
どうぶつたちの病院の長嶺隆理事長は「対策はやんばるの森からネコの捕獲を徹底することと、ネコの適正飼育だ。ネコを適正に飼育するには室内飼育しかない」とした。その上でやんばるの森に飼い犬や飼い猫を捨てないよう訴えた。調査に携わり、ネコの生態などに詳しい琉球大理学部の伊澤雅子教授は「希少生物がこれほど捕食されているとは思わなかった。やんばるの森には元来、肉食動物がおらず、在来動物はのんびりしている。一方でイエネコは優秀なハンターだ。ネコの遺棄をなくすことが必要だ」と指摘した。
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