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大晦日が近づくにつれ注目度が高まってきた「紅白歌合戦」。令和初となる今回の、新しい取り組みの一つが、「サブスク選考」だ。Apple MusicやSpotifyなどの音楽定額サービス(=サブスクリプション)の人気曲を、出場歌手の選考判断に生かした。

 

主要なサービス6社(Apple Music、Spotify、AWA、LINE MUSIC、楽天Music、dヒッツ)の邦楽の年間ランキングを見ると、どのサービスもランキング入りするアーティストはほぼ同じ。Official髭男dism、King Gnu、菅田将暉と今回の紅白初出場組だ。サブスクでの選考がきちんと行われている証左でもある。

 

一方で“女王”といえる、サブスクで最も人気だったアーティストの名前が今回の紅白にはない。あいみょんだ。

 

あいみょんは2018年の紅白で披露した『マリーゴールド』が、紅白後に大ブレイクし、9月には日本国内のアーティストでは初の単曲でのストリーミング数1億再生突破した。各サービスのランキングを見ても、Apple Music、AWA、楽天Music、dヒッツで年間1位、Spotify、LINE MUSICでも年間2位(1位は両サービスともOfficial髭男dism『Pretender』)と今年サブスクで最も聞かれた曲となっている。

 

『マリーゴールド』以外にも2018年11月に発売された『今夜このまま』や2019年4月リリースの『ハルノヒ』、ブレイクのきっかけとなった2017年の『君はロックを聴かない』もベスト10入りと、サブスクで最もランクインしたアーティストとなっている。

 

一部報道によればあいみょんは紅白出場を辞退したとのことだが、サブスク紅白にその申し子と言える彼女がいないというのは画竜点睛を欠く印象だ。

 

では紅白出場組がどれだけサブスクをどうか調べてみると、出演する42組中35組と8割以上がすでにサブスク解禁。特別企画のビートたけし『浅草キッド』、松任谷由美『ノーサイド』もサブスクで聞くことができる。

 

解禁していないのは紅組ではaiko、水森かおり。白組では嵐以外のジャニーズグループ、そして郷ひろみだ。サブスク=若いと言うイメージを持ちがちだが、演歌歌手は10名中、水森かおりをのぞいた9名全員がサブスクで曲を解禁している。

 

一方で若いアーティストだからと解禁しているわけではない。菅田将暉『まちがいさがし』、Foorin『パプリカ』、NHK2020ソングである嵐『カイト』とプロデュース曲が3曲紅白で披露される米津玄師は、実はサブスクで曲を解禁していない。

 

ともあれ、紅白で気になった曲の大半をすぐにサブスクで聞けるというのはありがたい時代と言える。

 

2019年は1月にSEKAI NO OWARIが解禁したのを皮切りに、back number、小田和正、ゆず、BUMP OF CHICKEN、スピッツと続き、11月には嵐、12月20日にはサザンオールスターズも解禁した。サブスクはCDの売上が下り坂の中、レコード会社にとっても大事な収入源となっており、来年以降も解禁アーティストが増えてくのは間違いない。

 

「サブスク」とあえて強調するような紅白は今年で終わりを迎えそうだ。

 

【PROFILE】

徳重辰典

ライター。福岡県生まれ。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にBuzzFeed Japanに移籍し、俳優、声優、アイドルなどのインタビューやエンタメの分析記事を担当。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。

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