3月は出会いと別れの季節といわれています。
芸能界はコロナウイルスの影響もあり、暖かなニュースも香ばしいニュースもない状態。芸能コラムを書く身としては、とてもさみしい気持ちでいっぱいです。そんな中、ふと気になる事がありました。
それは、タレントのおのののかさん(28)がイベント登壇時、「早く結婚したい~」とアラサーらしい悩みを吐露していたことです。
おのさんといえばちょっとのあざとさと可愛らしい容姿で、男性からは彼女やお嫁さんにしたいタレントとして人気を博していました。でも最近はトレードマークのおだんごヘアも封印したりしなかったりしつつ、「結婚焦るキャラ」感を随所に出しているようです。
少し前にはテレビでバンド・ゲスの極み乙女の休日課長(33)から告白を受け、「友達から~」なんて言っていた彼女。正直、「モテてんだか、焦ってんだか、どっちだよ!」って感じです。しかし改めてそんな彼女を見ていると、なんだか30歳前後になると急に「恋愛!結婚!」と話し始める姿に変な悲壮感すら感じるのは私だけでしょうか。
一方では人によって「結婚したい」を語っても、フレーズから感じる悲壮感の度合いは様々です。ではその差はどこで生み出されるのでしょう。
■「悲壮感」をどこまで感じさせるかがカギ
おのさんと同世代で結婚したいキャラといえば、一人思い出される人がいます。最近では美容マニアとして女性人気の高い、タレントの田中みな実さん(33)です。
彼女がバラエティに出るともう美容の話か恋愛の話しか語られず、その中で必ずといって「早く結婚したい」といった文脈の言葉が飛び出します。
おのさんと田中さん、どちらもアラサーで焦りを言葉にしているという点は同じです。でもパッと2人の言葉を聞くとなんとなく焦りの空気感に差を感じるのは、ただ田中さんが今仕事の調子が絶好調だから……というわけではないような。
では、その差はどこにあるのか。考えていくと、ヒントはキャラ変換の落差にあるように思うのです。
分解すると、田中さんのキャラ変化は大きく分けても以下のようなグラデーションを持っています。
ぶりっこモテキャラ(局アナ時代)→モテるけどちょっと重たい系女キャラ(恋愛下手アピールをしていた時期)→美容マニアなのは今だけ!やりきったから結婚したい(現在)
一方のおのさんは、彼女にしたいキャラ(数年前)→結婚したいキャラ(現在)と、いきなり180度の変化をもたせています。
確かにこれでは見ている方も「いきなりどうした!?」となり、焦りのレッテルを貼り付けやすくなります。
これは彼女たちに限らず、一般社会でもよく見かけることです。
いきなり「結婚! 結婚! 結婚!」と叫び出して周りを引かせる人は、そもそもその前段階に恋愛色を挟んでいないこともあります。その結果、妙に痛々しさが出てしまうのです。
■そもそも考えたい「結婚したいキャラ」が求められる日本
女性の焦りについて書きながら、とはいえ思うことがあります。
それは「適齢期になると結婚願望をちらつかせる」というキャラがいまだに受け入れられていることに、なんだか古臭く感じられるということ。そして同性として見たとき、ちょっとシンドいなと思うのです。
もちろん結婚したい気持ちを抱くのは自然なことですし、抱かない人もいるでしょう。
ただ「寂しい女」キャラを演出することでいじられたり、キャラが立ってしまったりする現実がある。それに私自身が共感する日もありますが、ふとしたときにうんざりしてしまうのです。
時代はどんどん加速して「多様性」を求めるようになっています。
生き方、働き方、恋愛、いろんな面での多様性が見えてきている時代です。その中で「そろそろ結婚したくて、焦るんです」を当たり前に発し、そしてそれを当たり前にいじる時代にちょっと疲れる。
そう思うのが筆者の主観だけであれば良いのですが、みなさんはどうでしょうか。