米軍普天間飛行場の移設に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設に関して沖縄防衛局が2014~19年度に発注した工事や業務89件(当初額計1228億円)のうち、8割以上の76件で契約変更があったことが分かった。37件で金額が増額され、当初契約から計345億円多くなっていた。
減額変更は30件で減額幅は計221億円だったが、この中には再発注のため契約を打ち切ったことで大幅減になったものが含まれ、再契約による増額も見込まれる。
減額分を差し引いても変更後の金額は1352億円に上り、当初の1228億円よりも124億円多い。コストが膨らみ続ける一方、軟弱地盤の影響で先送りせざるを得ない契約もあり、工事の停滞ぶりもうかがえる。
辺野古沖でボーリング調査が始まった14年度以降、沖縄防衛局が発注した土質や環境の調査、護岸建設、埋め立て工事などの契約計89件を調べた。警備単体の契約などは含まれていない。契約変更があった76件のうち、9件は金額変更を伴わない工期延長などだった。
18年12月に始まった埋め立て工事では4件の契約に金額変更があった。変更により当初額計316億円から451億円へと、135億円増えている。
契約の変更回数が多く、金額の変動が顕著なのは護岸・岸壁の建設工事10件だった。14年度に発注された中仕切り岸壁工事(当初額158億円)は契約が14回変更され、岸壁建設に着手しないまま225億円まで増えていた。
10件のうち、軟弱地盤の存在が判明した影響で6件は今年3月までに契約が打ち切られている。打ち切りで大幅に減額された護岸契約が4件(計175億円減)あり、全体額を引き下げているが、これらは今後再発注されるため増額要因に転じる可能性がある。
ただ再発注するにも地盤改良工事が前提となり、そのために必要な県の設計変更承認が得られる見通しは立っていない。
現在土砂が投入されているのは埋め立て区域南側の浅瀬で、軟弱地盤がある大浦湾側は水深が深く、工事規模も拡大する。現段階でも工期を延ばしたり費用を増やしたりする契約が繰り返されており、この傾向は今後も避けられそうにない。
(當山幸都、明真南斗)