ゲーム空間に再現された平和祈念公園の平和の礎 画像を見る

 

新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた今年の「慰霊の日」。沖縄県内各地で予定されていた慰霊祭の中止や規模縮小が相次ぎ、特に県外からの出席が難しい状況になった。「リアル」での参加が難しい状況で何かできないか?そこで、オンライン上で思いを共有する企画が編み出された。

 

FECオフィス・小波津正光(まーちゃん)さんによる定例イベント「お笑いニュースペーbar」内でも慰霊祭の中止や規模縮小が相次ぐ状況が議論され、こんな提案が上がった。「どうぶつの森で慰霊祭をできないか?」。

 

「あつまれどうぶつの森(あつ森)」とは、NintendoSwitch用の人気ゲーム。最新作では無人島を舞台に、オリジナルキャラクターが果物を育てたり、家を建てたり、魚を釣ったりと生活を楽しむことができる。ほかのプレイヤーと交流ができる点で、新型コロナウイルスによる外出自粛期間中などでも人とゲーム内に“集まって”コミュニケーションできるツールとしても注目されている。

 

どうぶつの森での慰霊祭はその流れで提案された。「ニュースペーbar」スタッフの琉球新報担当者が企画を進めた。

 

担当者によると「平和の礎」や「平和祈念公園」をゲーム内で再現するため、整備に1カ月を費やした。平和の礎を模した石碑を10個並べ、実際の平和の礎の写真を「マイデザイン」にし、地面に敷いた。海を見渡せるロケーションは本物の平和祈念公園を彷彿とさせる。

 

来島者はSNSなどで伝えたパスワードを知っている人。ゲートをオープンした23日の午前10時から午後3時までの間に約40人が訪れた。最後は人数が多く、入場制限がかかる状況になった。訪れた人たちは礎に向かって「うーとーとー」。花を持ってきて礎の前に「献花」する人もおり、実際の「平和の礎」のような光景があった。

 

訪問者の中には「ぬちどぅたから」とつぶやく人がいた。また、東京や福島から来たと言う人も。「慰霊の日」を知らなかったとみられる人もいた。担当者は当初、慰霊の日をどこまでやわらかく伝えていいのかと悩んでいたが「趣旨を分かってくれていた。思いを言葉にして伝えてくれるのは大きなことだと思った。慰霊の日を知らせるためにもいい機会になった」と話した。

 

琉球新報では、「#うーとーとー慰霊の日」のハッシュタグを付けてオンライン上で思いを共有する企画を提案。呼び掛けたハッシュタグ以外でも「慰霊の日」「沖縄慰霊の日」などのハッシュタグを添え、多くの人が追悼の思いを発信していた。沖縄全戦没者追悼式の黙祷前後の時間には「慰霊の日」がツイッターのトレンド入りをした。

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