政府が国内旅行代金の一部を補助する観光支援事業「Go To トラベル」が22日から始まった。新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた観光業の回復に期待を集める一方で、県をまたいだ往来が促進されることによる感染拡大も懸念されている。玉城デニー知事は21日に県庁で会見し、那覇空港に到着した便の利用者で発熱などの症状があった場合に、唾液を採取し、医療機関で抗原検査を実施することを発表した。事業開始に合わせた水際対策の一環として、22日にも始める。
「GoToトラベル」は旅行代金の50%を国が支援する。22日から代金の35%分を割り引く事業が先行して始まる。新規感染者が増えている東京はキャンペーンの対象地域から除外された。一方、宿泊施設や旅行業者の国への登録が始まっていないなど見切り発車となり、困惑が広がっている。
会見で玉城知事は「基本的には感染対策の拡充に重点を置く」とした上で、22日からのキャンペーン開始について「事業者、雇用の維持を考えると、観光客を迎えなければいけないという現実の問題もある。県民の安全安心を守りつつ経済を少しずつ循環させていく」との見解を示した。
県内の観光事業者に業界ごとのガイドラインを策定、順守するよう求めた。旅行者には、旅前の体調管理の徹底や旅行中も新しい生活様式を実践することなどを呼び掛けた。
那覇空港での発熱者に実施する抗原検査は30~40分程度で判定が出るため、空港から離れずに採取から判定まで完結することを想定している。22日から当面の間は、採取した唾液を空港外の医療機関に運んで検査を実施するが、那覇空港内で抗原検査を実施できるように国との調整や医師の確保を進めている。
玉城知事は「空港から出る前に結果が伝えられる。陽性なら医療機関につなげ、異常なしなら旅に戻ってもらえる」と強調した。
那覇空港に設置している旅行者専用相談センター沖縄(TACO)を、宮古空区と石垣空港でも22日から運用を開始する。久米島空港は既に17日に運用が始まり、下地島空港は準備が整い次第開始する。
情報発信強化のために、県の公式LINEアカウントを21日に開設した。