CSISの報告書で細谷雄一氏が「中国は間接的な方法で日本に影響を及ぼしている。沖縄の新聞に資金を提供し影響力を及ぼし、沖縄の独立や米軍基地の撤去を進める隠れた方法がある」とコメントした部分 画像を見る

 

米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)が発行した「日本における中国の影響力」と題した報告書で、「中国は間接的な手法で日本に影響を及ぼしている。沖縄の新聞に資金を提供し影響力を及ぼし、沖縄の独立や米軍基地の撤去を進める隠れた方法がある」と誤った記述があることが分かった。慶応大の細谷雄一教授(国際政治学)の発言を引用する形で国際政治学者のデビン・スチュワート氏が執筆した。

 

細谷氏は自身のブログで沖縄の新聞への資金提供について「私は、そのような事実があるとは思っておりませんし、確認もしていません」と事実関係を確認した上での発言ではないと釈明している。

 

琉球新報社は「当社は中国の資金提供は受けていない」と説明した。

 

米首都ワシントンに拠点を置くCSISは米政府高官経験者が在籍するなど、政府、連邦議会にも影響力のある有力なシンクタンク。報告書は7月23日に公表されている。米国務省グローバル・エンゲージメント・センターの支援で、カーネギー国際問題倫理評議会上席研究員を務めるスチュワート氏が約2年間かけて識者約40人のインタビューなどを基にまとめた。

 

スチュワート氏は「メディアを通した中国の影響力の最も重要なターゲットは恐らく沖縄だろう」と記述。公安調査庁が2015年版、17年版の報告書「内外情勢の回顧と展望」を通して、「中国の影響力が沖縄の世論を分断させる可能性」を指摘している点などを事例に挙げた。

 

細谷氏はブログで、報告書が「日本国内での中国の『影響力工作』というよく目に見えない実態を体系的に一定の分量を割いてまとめた報告書で、とても価値があり、またその評価やバランスが取れたものだと思う」と説明した。一方で「あたかも中国のお金が直接、沖縄の新聞に流れているというような印象を与える英語になってしまったのだろうと思う。自らの英語の表現力の不足をあらためて後悔している」としている。

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