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2018年7月に事実婚を発表し、2019年9月に長男が誕生した、はあちゅうとしみけん。活躍する業界もファン層も違う異色夫婦が、「これ、どうする?」「あれ、どう思ってる?」と赤裸々に語り合う本誌連載。最終回となる今回、連載を通じて夫婦に起こった変化を語ります。

 

 

はあちゅう「2019年8月から1年以上続いたこの連載も、今回で最終回だよ。振り返ると、家事どっちがやるか問題の回(第33回など)で、すごい喧嘩になったよね(笑)。けんちゃん、帰宅したあとも『もう連載やめよう……』って言ってた」

 

しみけん「毎回、不仲になってたからね……(笑)」

 

はあちゅう「でも、あの大喧嘩のおかげで、家事やるごとに100円出して可視化しようってことになった。結果、私がたくさんやってることがわかって、けんちゃんは感謝してくれるし、家事も手伝ってくれるようになったし。私としては、それだけでも連載の元は取れたよ(笑)」

 

しみけん「僕はこの連載が始まってから、不満を常に書き留めておくようになった。『次の取材で、ライターさんたちに話して意見を聞こう』みたいな気持ちで。対談を通じて、アンガーマネジメントや相手に理解してもらう方法もわかってきた」

 

はあちゅう「毎回、取材が夫婦セラピーの役割を担ってたよね(笑)。普通だったら、夫婦喧嘩になって嫌な気持ちになるだけのところ、我々は話を聞いてもらい、原稿にまとめてもらい、お金までいただいてた。普通に夫婦カウンセリング受けたら、お金払わなくちゃいけないのに。ラッキーな機会だったよ」

 

しみけん「はあちゅうという人間を、“因数分解”できたことも大きかった。『この人は心底、合理主義者なんだなあ』と。本も、紙ではなくデータとして見てるから、僕みたいにモノとしての愛着はない。昔の携帯電話を取っておくことに意味を感じない、とかさ」

 

はあちゅう「世代間格差だよ、それは。あと、紙の本にも愛着はあるよ。愛着があるものと、ないものがある」

 

しみけん「はあちゅうは、『バチェラー・ジャパン』も、テレビドラマも、映画も、最初と最後以外を早送りで見たりするよね。ところどころ1.5倍速とか。あらゆるものを『情報』として接してる。それがわかったのは、大きな収穫だった」

 

はあちゅう「ドラマは、ちゃんと見たいけど時間がないんだってば! それだけ、私のほうが育児と家事をしているの。まぁ、けんちゃんが言いたいのは、私、ちょっと“堀江(貴文)さんみ”があるってことだよね(笑)」

 

しみけん「そうそう。言葉選ぶけど……、そのカテゴリーの人……、かなぁ……」

 

はあちゅう「そう、そのへんなんだよ、私。ネットで叩かれる理由がわかるよね。情緒より、情報を重視することが多々あるから」

 

しみけん「僕はどっちかと言えば、対照的だから」

 

はあちゅう「そうだね」

 

しみけん「はあちゅうとは、全然違うタイプ。でも対談を通じて、『そういう見方もあるんだ』『そういう人もいるんだ』『人は人』って、しみじみ考えることができたよ」

 

はあちゅう「まわりからの反応は?」

 

しみけん「『ドラゴンボール』を捨てた回(第20回)は、いろんな人から言われて、嬉しかった」

 

はあちゅう「あれ、実際より私が悪い人になってる気がする。私が勝手に捨てたみたいになってるけど、正確には私が『これいるの?』と言ったら、けんちゃんが捨ててくれたんだよね。私の著書のアマゾンレビューに、『夫の漫画を勝手に捨てる人が本を書いてるなんて』みたいなこと書かれて、ちょっと違うんだけどなって思った……。でも、いろんな反応があったのは楽しかった」

 

しみけん「たとえば?」

 

はあちゅう「ママ友からのLINEで『よく言ってくれた!』って。自分では言えないことが記事になってて旦那さんにシェアしたって連絡、よくもらってた。『はあちゅうが言いたいこと言ってくれた。世の中の夫婦仲に貢献してる』って言ってもらえたのも、嬉しかったなあ。夫婦どちらかだけじゃなく、2人とも顔出しで、しかも相手の目の前で言い合ってるのは、フェアだったと思う。片方だけがメディアで発言すると、どうしても不公平になるから」

 

しみけん「僕、最初にこのお話をいただいたとき、『え、これ視聴率ゼロだよ』って思ったんだよね(笑)。議題がはあちゅうから出てきても、『誰が読むの? 誰がこれに興味があって、どこに発信してるの? これ、おもしろいか?』って。だけどネットニュースやテレビ番組に取り上げられるし、僕自身も本当にいろんな所で『読んでます』って言われたよ。知り合いのお相撲さんとか、中華料理店のシェフとか。唐突に言われるの(笑)」

 

はあちゅう「『普通の夫婦なんですね』『そういう細かい喧嘩、うちにもあるんですよ』って言ってもらえたこともあったなあ。家事分担の衝突が私たち夫婦だけの問題じゃなくて、世の中の夫婦も同じように悩んでるんだなって実感したよ」

 

しみけん「夫婦リアリティショーだよね」

 

はあちゅう「うん、夫婦版。カップルが出来るまでのリアリティショーが流行っているけど、その後、本当に2人の共同生活が始まったら、もっとドロドロするでしょ」

 

しみけん「しかし、この連載が終わったら、僕たち夫婦はいつガス抜きをすれば……」

 

はあちゅう「時々、不定期で対談させてもらえないかな。『まだ離婚してません』ってタイトルで(笑)」

 

しみけん「いいね(笑)。僕ら夫婦が衝突してるなと思ったら、『そろそろ、どうですか』って声かけてもらって」

 

はあちゅう「それ、離婚するまで続けてギネスブック狙おう(笑)」

 

しみけん「はあちゅう、『人生全部コンテンツ』が信条だもんね」

 

はあちゅう「コンテンツにすることで一歩引いて俯瞰できる。解決策が見えたり、客観視して楽しめたりもするからね」

 

しみけん「離婚すらもコンテンツだ(笑)」

 

【はあちゅう】

1986年、神奈川県生まれ 慶應大学在学中より、ブロガー活動を開始。2014年フリーに。近著に『わくわくする未来をつくるためのお守り言葉』『子供がずっと欲しかった』がある

 

【しみけん】

1979年、千葉県生まれ 1998年にAVデビューし、出演本数は約1万本の現役AV男優。近著に『AV男優しみけん仕事論0.01 極薄!』(扶桑社)がある

 

取材&構成・稲田豊史

読者の皆様、ご愛読いただきありがとうございました!(編集部)

(週刊FLASH 2020年9月22日号)

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