新型コロナウイルス感染拡大で売り上げが減少した飲食業界を支援する「Go To イートキャンペーン」が1日に始まった。飲食がお得に楽しめるとあって、県内でも対象店舗を中心に「予約が増えている」(飲食店関係者)と期待感が広がる。同時に、客足が戻り始めたことで飲食店では感染対策の徹底に神経をとがらせる。一方、サイト登録など煩雑な手続きから、恩恵を受けられる店舗は「一部だけでは」との声も聞こえる。
キャンペーンが始まって初の週末となった2日夕。那覇市の繁華街では仕事帰りの人々が飲食店に吸い込まれていった。
市泉崎の飲食店「ちねんや~」はキャンペーン対象のオンライン予約サイトに登録しており、予約が増えているという。高里孝朗店長(30)は「予約客から『ポイントをもらいたいのでネット予約に変更したい』と連絡があった。予約もフリーのお客さんもコロナ前に戻りつつある」と歓迎する。
同時に感染対策を一層気に掛けている。店員のマスク着用や消毒液の設置、検温はもちろんのこと、客が外したマスクを入れるビニールも配布している。使用したマスクがそのまま放置されないための対策だという。コストもかかるが、高里店長は「全ては気持ちよく飲んでもらうため」と説明する。
キャンペーンの柱は(1)予約サイト経由の来店客に昼食500円、夕食千円分のポイント付与(2)購入金額に25%上乗せしたプレミアム付食事券―の二つ。ポイント付与は予約サイトが受託しており、「ぐるなび」「食べログ」などの大手は予約客1人につき昼食で50~100円、夕食は200円程度の「送客手数料」を店舗から徴収している場合が多い。市久米の酒場「KUMECHO」は予約サイトに登録しているが、ポイント付与事業には参加していない。オーナーの宮里武さん(45)は「参加しようかと思うが、プレミアム付食事券の方が分かりやすいかも」と語る。同店も9月から客足が戻りつつあるというが「感染者が増えている。忘年会シーズンがどうなるか」と先行きを不安視した。
キャンペーンに懐疑的な見方もある。那覇市の繁華街を訪れていた南風原町の飲食業、大石勉さん(42)は「予約しないといけないのは面倒。もっとシンプルでいい。地元客が多く、うちのお店は予約サイトにも登録していない。恩恵があるのは那覇市内くらいでは」と吐露した。