【沖縄】沖縄の愛情を一皿に込めたい―。県立美里工業高校調理科3年の国吉生乃(きの)さん、仲間功也(こうや)さん、村吉政哉(せいや)さん3人は、31日に東京都内で開かれる「第9回ご当地!絶品うまいもん甲子園」決勝大会に県代表として出場する。決勝には8校が進出。全国105校、363チームの頂点をつかむべく3人が作る一品は「琉球ぬちぐすいカレー」。沖縄食材のうま味を一皿に凝縮して全国の舞台に挑む。
同大会は各地の特産品を生かし、全国の高校生らが料理のアイデアや腕を競う「食の甲子園」。これまで県勢では宮古総合実業の準優勝が最高位。県予選を勝ち抜いた3人のチーム名は「琉球oceans(オーシャンズ)」。男子3人のチーム構成に村吉さんは「男子だけで気兼ねなく何でも言い合える。チームワークは最高」と話す。ぬちぐすいカレーはゴーヤーやオクラ、マンゴーなど県産食材をふんだんに使用している。
中でも豚ひき肉には強いこだわりがある。「今年、豚熱の発生で沖縄市内の養豚農家が打撃を受けていた。それでも前向きに取り組む農家の話を聞き、力になりたいと食材に選んだ」、と仲間さんは地産地消を強調する。多種類の野菜を食材に加えているのも魅力だ。
大会の一環で9日、「キリンチャレンジキッチン」が同校で行われ、ホテルJALシティ那覇の喜屋武直彦料理長から3人は直接、調理の手ほどきを受けた。国吉さんは「野菜に熱を通すタイミングなどを指導してもらい、調理工程が大幅に短縮できた」と自信を見せる。喜屋武料理長はチームが全国優勝をなし得た際、3人をホテルに招待すると約束した。
大会では事前に制作したプレゼンテーション動画も審査対象に含まれる。現在、制作中の動画では料理好きの3人が、意外にも全員空手部に所属し、黒帯という“イケメン”な素顔をアピールする。同校の外間あかり調理科長は「3人とも、かわいくて仕方がない。大会を通じ成長していく姿がまぶしい」と全国大会前から早くも目を潤ませる。思いを一つに、沖縄の魅力をスパイスに加えたカレーで、男子高生3人が集大成のステージへと上がる。
(高辻浩之)