(ヘアメイク:福間友香/Vanites) 画像を見る

「オーディションの最終審査が終わったあと、すぐに部屋に呼ばれて、『今日から君がノーマンだよ』と監督に言われました。かなりドラマチックな展開だったのですが、自分自身、ノーマンをできるのは自分しかいないと信じていました」

 

そう語るのは、12月18日公開の映画『約束のネバーランド』(全国東宝系)に出演する板垣李光人(18)。原作は『週刊少年ジャンプ』でも熱狂的なファンの多い異色の脱獄ファンタジー。彼が演じるのは、孤児院で暮らす子供たちのなかでもとりわけ優秀な頭脳を持つ、理性的でリーダー格の少年・ノーマンだ。『仮面ライダージオウ』で注目された次世代俳優が、再び熱い視線を浴びている。

 

「実写化にあたって、この作品の持つ世界観を邪魔しないビジュアル作りは重要な課題で、そこへの熱量は人一倍あったと思います。それに、ノーマンはどことなく自分と似ているんですよね。思ったことをすぐに口に出さないところや、どこか達観しているところが自分に重なって、そういう僕だからこそノーマンという人を自然に演じられるんじゃないかなあと思いました」

 

ふだんからあまりしゃべらないタイプだという板垣。撮影中は、共演者の子供たちが遊ぶ様子をただ静かに眺めていたという。

 

「はしゃぐことがないんです。学校でも1人で絵を描いているような感じだったので全然友達がいなかったですね(笑)」

 

物語の舞台は、幸せに満ち溢れた楽園のような孤児院。しかし、そこは鬼に献上する食用児を育てる農園で、母親のように慕うイザベラは、自分たちを檻に閉じ込める飼育監だった。その秘密を知ったエマ、レイ、ノーマンの3人は、孤児たち全員をハウスから連れ出すという無謀な脱獄計画をスタートさせる。

 

主人公・エマを演じるのは話題作に引っ張りだこの若手実力派、浜辺美波。クールな少年・レイ役には、映画『万引き家族』で注目された城桧吏が抜擢された。

 

「物語の前半は、エマとノーマンが無残にも命を奪われたコニーの姿を見てしまうシーンが特に鮮烈な印象として残っています。2人はイザベラが得体の知れない鬼と繋がっていることを知ってひどく動揺しますが、そんな状況でもエマを優しく包み込もうとするノーマンってすごいなあ、と。彼自身相当なショックを受けたはずなのに、まずは自分よりもエマを思いやれる、彼の優しさの奥にある強さが溢れ出た場面だと思います。

 

浜辺さんの演技にも圧倒されましたし、エマの激しい感情の波を受け止めつつ、自分自身のなかから湧いてくるどうしようもない感情を抑えるのがとても大変でした」

 

禁断実写化『約束のネバーランド』に抜擢された美少年の素顔
画像を見る (C)白井カイウ・出水ぽすか/集英社(C)2020 映画「約束のネバーランド」製作委員会

 

ノーマンを演じるうえでのポイントは“笑顔”とも。

 

「ノーマンの笑顔が大好きなんです。そこに表れる彼の強さや包容力みたいなものは大事に演じたいと思いました」

 

そして、イザベラを演じるのは北川景子。脱獄して外の世界を見るという希望を捨てない子供たちと、彼らの行く手を阻むイザベラ、知略をめぐらす両者の頭脳戦はどんでん返し続きのスリリングな展開が見どころだが、北川は撮影現場でも美しきママとして君臨していたという。

 

「ちっちゃい子役の子たちは撮影中でもとっても自由で。あまりに自由すぎるときは、北川さんがちゃんと怒ってくださるんです。男性の助監督さんが怒っても全然言うことを聞かないのに、北川さんのひと言でしゅんとする。やっぱり北川さんの存在感はすごいなあと思いました。カメラが回っているときもそうじゃないときも、子供たちの目にイザベラとして映るように振る舞われていたのが印象的でした」

 

子供たちが鬼ごっこする雄大な森、ヨーロッパのお屋敷を思わせる美しいハウス。原作ファンなら、「あんなロケーションが日本にあるのか?」と疑問を持つだろうが、完成した映像を見ると、その再現度の高さに驚かされる。

 

「とても美しいロケーションで、日本でもこういう景色が撮れるんだと感動しました。森のロケ地は標高の高い山の上にあって車では入っていけないんです。何が大変だったかって、何回も走るシーンを撮影したあとに歩いて山を下らないと帰れなかったことです。ふだんほとんど運動しない僕にはかなり過酷でした(笑)」

 

原作は、今年6月まで約4年にわたり連載され、アニメ化もされた。伏線が散りばめられた先の読めない展開は、大人をも魅了する。

 

「生と死をキレイな作画と美しい世界観で強く表現した作品です。非現実的な話だけど、もしかしたら現実にあることかもしれないと思うような不気味さもあって。それを血の通った生身の人間が演じることでより生々しく、ダイレクトに伝わるんじゃないかなあと思います。また、こういうご時世ですから、あらためて生と死について考えることもあって。この作品を見終わったあと、今まで以上に自分の家族や友人と温かい気持ちで接してもらえるといいなあと思います」

 

最後に、「もし、脱獄なんて状況が自分の身にふりかかったらどうする?」と尋ねると、「無理です!(笑)」と即答した。

 

「エマ、レイ、ノーマンの3人は本当に強いけれど、僕はそんなに強くない。頭の回転だって彼らのように速くないし。あんな過酷な運命、きっと諦めて受け入れてしまうと思います」

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