「そりゃ製作費いくらあっても足りないよね」と誰もが思う、ダイナミックかつハチャメチャなセットがとってもシュール! 画像を見る

家の中で楽しめるエンタメや流行を本誌記者が体験する“おこもりエンタメ”のコーナー。今週は、’00年に撮影が始まって、途中9回も頓挫した末に完成した壮大な迷作(!?)『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』をご紹介します。

 

■『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』Blu-ray&DVD発売中。Blu-ray5,170円、DVD4,180円(ともに税込み)。発売・販売元/インターフィルム

 

舞台はスペインの片田舎。映像監督のトビーは、撮影がうまくいかず、ある男からDVDを買います。それは、トビーの学生時代の卒業制作映画『ドン・キホーテを殺した男』でした。

 

その作品を撮影した村を訪ねると、ドン・キホーテを演じた老人は、いまだに自分をドン・キホーテと信じ込み、いやがるトビーをサンチョ・パンサと呼んで旅へと向かいます。その先々で不可解な出来事に翻弄されるトビーですが……。

 

記者がテリー・ギリアム監督の作品を初めて見たのは、’81年公開の『バンデットQ』でした。子ども部屋のクローゼットから馬上の騎士が現れて冒険旅行に出るというファンタジー。まるで眠っているときの夢を映像化したような予測不能な展開が続き、以来、記者は監督の大ファンに。

 

型破りな夢物語はどの作品にも受け継がれ、今回は、莫大な製作費に加え、自然災害や主役の交代が重なって、何度も撮影が中断。それでもあきらめずに完成させた監督の不屈ぶりが、夢に取りつかれた劇中のドン・キホーテに重なるものを感じました。

 

また、華やかな映画業界を皮肉った描写も多くあり、大人が楽しめるファンタジー作品です。

 

(C)2017 Tornasol Films, Carisco Producciones AIE, Kinology, Entre Chien et Loup, Ukbar Filmes, El Hombre Que Matoo a Don Quijote ALE Tornasol SLU

 

(文:西元まり)

 

「女性自身」2020年12月22日号 掲載

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