’19年5月の御代替わりに伴い、皇居・御所にお住まいだった上皇ご夫妻と赤坂御用地にお住まいだった天皇ご一家は、ご住居を入れ替えられることになっている。
「お引っ越しは’17年時点の計画で、’20年中に完了する予定だったのです。しかし、ここへきて’21年中でも終わらない可能性が出てきました」(宮内庁関係者)
お引っ越しの手順を確認しておくと、次のようになる。
(1)上皇ご夫妻が皇居を出られて仙洞仮御所(旧高輪皇族邸)へご入居
(2)その後、皇居・御所を改修して、終了後に天皇ご一家が赤坂御用地からご転居
(3)天皇ご一家が出られた赤坂御用地内の御所(旧東宮御所)にバリアフリー化などの改修工事を施した後、上皇ご夫妻がご入居
本来ならすでに(3)まで完了している予定だったお引っ越しだが、’21年になった現在でも、進行しているのは(2)の途中までという状況なのだ。
まず(1)の段階で遅延の原因となったのが、上皇ご夫妻の膨大な“私物”だった。
「今回のお引っ越しで皇居から運び出されたお荷物は、120トンを超えるといわれています。お二人の蔵書はもちろん、贈答品や献上品など大切なものが多いので、側近といえども手を出すわけにはいかず、上皇陛下と美智子さまが一つひとつご覧になり、どのように整理すればいいのかを判断なさるほかありませんでした。考えただけでも気の遠くなるような作業ですから、時間を取られるのは致し方ないことだったのです」(皇室担当記者)
さらに、美智子さまが’19年6月に白内障、9月には乳がんの手術に臨まれるという事態もあり、お引っ越しのスケジュールは後方にずれ込んでいった。
そして、上皇ご夫妻が仙洞仮御所に入居されたのは’20年3月31日。この時点で半年以上遅延していたのである。しかも、その直後には、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて緊急事態宣言が発せられることに――。
「ようやく始まった皇居・御所の改修工事も全面ストップ。工事の停滞は3カ月近くに及びました。その後、再開した工事は遅れを取り戻し、昨年10月には両陛下と愛子さまが視察されるまでに進んでいます。しかし、想定されていた今年4月の完成は難しいでしょう。また、完成したとしても、両陛下は、コロナ禍に国民が苦しんでいる状況でのお引っ越しはしばらく避けられると思います」(前出・皇室担当記者)
天皇ご一家が皇居・御所で新生活を始められると、ようやく手順(3)に進むのだが、赤坂の御所の改修工事に1年はかかるといわれている。上皇陛下と美智子さまがお引っ越しできるのはどんなに早くても来年の春以降になるとみられる。
「上皇ご夫妻は毎日のように健康維持のために散歩されていますが、東京・高輪にある仙洞仮御所は、皇居のように広い散策スペースがあるわけではありません。2回目の緊急事態宣言が出ている現状では外出もできず、十分な運動を確保するのが難しいのです。美智子さまも、何より上皇陛下のご健康のために、一刻も早い赤坂への引っ越しをと願っていらっしゃるのですが……」(前出・宮内庁関係者)