4月12日から、65歳以上へのワクチン接種が日本でもスタート。でも、副反応の報道を見て接種をためらう人も多いという……。そこで、私たちの不安をワクチン先進国・米国ですでに接種を受けた医師にぶつけてみたーー。
「ワクチン接種を受けた人はマスクを外して会えるようになりました。また、レストランの入場制限も緩和され始めています。ワクチンに守られているという安堵感が町中にあふれ、患者さんにも1年ぶりの笑顔が戻ってきました」
そう語るのは、米国ニューヨークのマウントサイナイ医科大学の内科医・山田悠史先生。4月中旬に『日米で診療にあたる医師ら10人が総力回答! 新型コロナワクチンQ&A100』(日経メディカル開発)を発売予定だ。山田先生はすでにワクチンを接種したという。
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えると期待されるワクチン。米国では3月25日までに1億2,000万回以上の接種がなされ、65歳以上の66%以上で1回目の接種が完了している。
「現状では新型コロナの特効薬はありません。個人の感染や重症化を防ぐだけでなく、集団免疫を獲得して、コロナ禍以前の日常を取り戻すためにも、ワクチン接種の役割はとても大きいのです」
日本でも、4月中旬から高齢者へのワクチン接種が始まるが〈副反応が出た〉などのニュースに不安を抱く人も。そこで、ワクチンの正しい情報を発信し続けている山田先生にワクチンに関するさまざまな疑問をぶつけてみた。
【Q1】食物アレルギーがありますが、接種しても大丈夫?
接種可能です。接種を避けたほうがいいのは、過去にワクチンに含まれる「ポリエチレングリコール」に対して重いアレルギーを起こしたことがある人です。また、1回目のワクチン接種でアナフィラキシー反応を起こした場合も、2回目の接種ができなくなります。
【Q2】現在確認されている副反応にはどのようなものがありますか?
接種後、すぐにみられる副反応にはアナフィラキシー反応と、注射への緊張や痛みから、立ちくらみを起こしたり気を失ったりしてしまう血管迷走神経反射があります。また、接種後数日以内に現れるものとして、接種部の痛みや腫れ、倦怠感、頭痛、発熱、下痢があるとされています。
私の場合は、翌日に筋肉痛がでましたが、仕事は通常どおり行いました。私の周りでも、発熱や、強い痛みが出た人がいます。彼らも解熱剤や痛み止めを使って、すぐによくなっていました。
また、あまり知られていないのですが、接種した腕の脇の下のリンパ節が痛みとともに腫れることがあります。多くの場合、1週間程度でおさまるのですが、ワクチン接種後に乳がん検診をすると誤って「がん」を疑われる可能性も。乳がん検診は接種前か、接種してから4〜6週間あけたほうが混乱を避けられるでしょう。
まれに接種してから1週間以上たって、接種した箇所が赤く腫れる「遅発性局所反応」が起こることも報告されています。こちらも、自然に治癒することが知られています。
【Q3】接種前後に気をつけることはありますか?
接種後発熱することもあるので、接種翌日は仕事を休めるようにしておくなど予定を調整しておくといいでしょう。
また、鎮痛薬を飲んでから接種を受けると理論上ワクチンの効果が下がる可能性があります。そのため、副作用の予防などの意味で不必要に痛み止めを飲むのは避けましょう。
もちろん、持病で飲まれているような方は飲み続ける必要がありますが、あくまで必要がない場合には、飲まないほうがいいと考えます。また、接種後に痛みや熱が出てしまった際に、飲むのは構いません。
このように持病があったり、薬を服用していたりなどで接種に不安のある人は、事前にかかりつけ医に相談しておくこと。接種会場で聞けばいいと思っている人もいますが、会場の医師は、あなたの状態をよく知る医師ではないので、適切な回答を与えてくれるとは限りません。
接種後は、過去に重いアレルギー反応を起こしたことがある人は30分、そうでない人でも最低15分間待機することが推奨されています。また、接種当日の過度の飲酒や筋トレなどの激しい運動は、血行を促進して痛みや腫れを悪化させる可能性があるので避けたほうがよいでしょう。
コロナワクチンの接種にあたって、不安や疑問を感じた場合、山田先生が中心となって立ち上げたLINEアプリ「コロワくんの相談室」もぜひ活用してほしい。
日常を取り戻すため、正しい知識をもち、万全の状態でワクチンを接種しよう!
「女性自身」2021年4月13日号 掲載