80年代から90年代にかけてもロングセラーだった『ノストラダムスの大予言』(祥伝社・73年発売) 画像を見る

住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、青春時代、恐怖に震えた心霊写真や怪奇現象の話。各界で活躍する同世代の女性と一緒に、’80年代を振り返ってみましょうーー。

 

「運動は苦手でインドア派だったので、家ではよくテレビや雑誌を見ていました。心霊特集や怪奇現象特集にくぎ付けになっていて、いまでも好きで信じています」

 

小・中学生時代を送った’80年代を振り返るのは、コラムニストで漫画家の辛酸なめ子さん(46)。

 

たしかに’80年代は、テレビでも雑誌でも心霊特集が組まれていたし、とくに暑い夏の風物詩でもあった。なかでも辛酸さんが好きだったのは『お昼のワイドショー』(’68〜’87年・日本テレビ系)で、夏季に放送されていたワンコーナー「あなたの知らない世界」だ。

 

視聴者から寄せられた心霊体験や写真を、心霊研究科で放送作家の新倉イワオさんが解説、分析する構成だった。

 

「再現ドラマ仕立てになっていたので、リアリティがありました。いまでも覚えているのは、亡くなられた出演者の霊を呼ぶ回。私には見えませんでしたが、専門家によると“来ていた”みたいで。番組の放送は昼間なので、興味津々で見るんですが、夜、お風呂に入ってシャンプーをしているときに人の気配を感じたりして、怖くなるんですね」

 

辛酸なめ子「80年代オカルトブームの影響は今も続いています」
画像を見る 小学生のころの辛酸なめ子さん

 

都内の有名中学に進学したころには、定番のコックリさんも体験。コックリさんとは、50音を書いた紙の上に置いた十円玉に、メンバー全員で人さし指などを添えて質問をすると、十円玉が50音の上を移動して1文字ずつ指し示し、その質問に答えてくれるというもの。いわゆる降霊術のひとつだ。

 

「“その名”を言うと、呪いがかかるとかいわれているので、安易に口にはできませんが……(辛酸さんは決して“コックリさん”とは言わない)。何人かで“それ”をやっているとき、誰かが『私の行く大学は?』と質問したんですね。すると十円玉が動きだし、『あ』『お』『が』『く』と示したんです。明らかに強い意志の力を感じました」

 

辛酸さんのオカルト熱はやまない。’80年代に一世を風靡した霊能者といえば宜保愛子さんだがーー。

 

「かなりハマりました。宜保さんがフランスの宮殿でマリー・アントワネットを降霊した番組はいまでも覚えているくらい。漫画家になってから“Gibo&Aiko”というキャラクターが登場する作品を描いたのですが、『かわいいじゃない』と宜保さんは笑って許してくれたと、人伝に聞いています」

 

こうした“見えない世界”への探究心はいまでも続いており、仕事で霊視や前世占いも体験。

 

「青森のイタコに降霊してもらった亡き母が、『夢の中でも会いたいし、話がしたい。そう思ったり、考えてくれたりしてくれて、その気持ちがすごくうれしく思ったし』と、J-POPの歌詞みたいな言葉を発したのは印象的でした。前世を見てもらったこともたくさんあって、『キリストが十字架に磔にされるのを見て、嘲笑していた民衆の一人』だとか、さらに時代がさかのぼって『クレオパトラ6世』だとか言われました。ちなみに有名なのはクレオパトラ7世らしいです。『背中から切られた花魁』『纏足で逃げられず集団暴行された中国の女性』なんていう、悲しい前世もありました」

 

幾度となく輪廻転生を繰り返してきた辛酸さん。いまも霊界との接点は感じるという。

 

「北向きの暗い部屋に住んでいるとき、仕事をしていると激しい眠気に襲われて……。ぱっと目が覚め、原稿用紙を見ると、そこには悲しげな女性の顔が描かれていました。霊が“自動書記”をさせたのでしょうか。私が作品を描けるのも、あたりを彷徨っている霊魂が、何らかのインスピレーションを私に与えているからなのかもしれません……」

 

信じるか信じないかは、あなたしだいだ。

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