「私たちの生活に不可欠な製品が、コロナ禍の影響でいくつも品薄状態になっています。これからの季節に欠かせない商品も、在庫不足や納期の遅れが続々と報告されているのです」
こう話すのは、流通事情に詳しい経済評論家の加谷珪一さんだ。
コロナの新規感染者数が減少し、緊急事態宣言が一斉解除されて半月以上が経過。
2度のワクチン接種を完了した人も増え「そろそろ真冬の準備を」と計画している家庭も多いだろう。しかし製品が買えないとなれば、その計画にも狂いが生じることになる。
次のように、品薄の商品は多岐にわたる。
■意外な品薄商品リスト
【温水洗浄便座】TOTO、パナソニックなど
品薄で納期遅れ。
【給湯器】リンナイ、ノーリツなど
品薄で納期遅れ。
【セーター・スエットなど】ユニクロ
秋冬商品の販売を一部延期。
【自動車】トヨタ、ホンダ、三菱自動車
一部で工場稼働停止、ベトナムで生産停止など。
【冷凍エビ】
品薄で価格が高騰。
【冷凍食】ニチレイ、味の素冷凍食品など
タイの状況悪化で、一部商品が一時生産停止。
【プレイステーション】ソニー・コンピュータエンタテインメント
品薄で納期遅れ。
【パソコン】NEC、アップルなど
供給制限、減産見通しなど。
【スマートフォン】アップル
半導体不足により生産目標を下方修正。
【カーナビ】パナソニック、パイオニアなど
品薄で入手困難。
【プリンター】キヤノン
ベトナムの状況次第でさらに品薄に。
給湯器を筆頭に、使えなくなると毎日の生活で何かと困る製品が品薄とは、いったいなぜなのかーー。
「コロナ禍で、ベトナムが大規模なロックダウンをしていたことが大きく関係しています」(加谷さん・以下同)
ベトナムの状況が日本の製品に関係してくるメカニズムを、加谷さんは次のように解説する。
「ベトナムに進出している日本の企業は約2,000社あります。大手メーカーでは、主力工場のあるTOTO、プリンターを製造しているキヤノン、白物家電ではパナソニック、部品生産でトヨタ、ホンダなどがベトナムを調達先としています。これらの企業が、現地のロックダウンで部品などの生産が止まり、製品が日本に入ってこない状況に陥っています」