今年は史上最多6,017組の漫才師が出場した「M-1グランプリ2021」(ABC・テレビ朝日系)。12月19日の生放送で、決勝進出者9組と敗者復活戦から勝ち上がった1組、計10組により漫才の日本一をかけた熱い戦いが繰り広げられる。
実は筆者は今大会の6,017組のうちの1組としてM-1にチャレンジしていた。
ここで筆者の経歴を簡単に紹介させてください。1992年にジャリズムというコンビでデビューし、2011年に解散。相方は世界のナベアツとしてピンでも活動し、現在は落語家に転身した桂三度さん。ちなみにジャリズムでは2004年、2005年、2006年のM-1にエントリーし、いずれも準決勝敗退。
その後、筆者は2017年に芸人を引退しライターに転身したが、今年再び、『M-1グランプリ』に挑戦したいという思いから芸人に復帰した。
■取材を通して、再燃した舞台への思い
ライターを始めた2017年から『M-1』の準決勝の会場に足を運んだり、その年のチャンピオンにインタビューしたりと、M-1にチャレンジしている多くの芸人さんに取材をしてきた。
その取材の中で大会に向けてネタを考えたり、ライブでネタを調整したり、たった4分間の漫才を作るために相当な量のエネルギーを何年間も注ぎこみ、高い目標へ向かって日々精進している芸人さんの姿を見て、正直めちゃくちゃうらやましく感じた。
そこで自分も「やりたい!」という気持ちが湧いてきて、52歳にして挑むことになったのだ。今年に入って筆者は相方を探し始め、ピン芸人に照準を絞りネタ動画を片っ端から視聴した。
すると、体重100キロを優に超える、丸坊主でセイウチのような大男に目が止まった。その名は街裏ぴんく(36)。
架空の出来事を、さも自身が実体験したかのように熱を込めて話す漫談は秀逸だった。以前からぴんくさんの存在は知っていたが、相方探しの観点から見ていると、よりぴんくさんの漫談に引き込まれた。
ぴんくさんの漫談は架空の話のため、少しわかりづらくなるところもある。もし漫才にすれば、その部分をツッコめるため、お客さんに面白さをより伝えられるのではないかと筆者は考えたのだ。