米アイダホ州ボイシで8歳の売れっ子作家が誕生した。KTVB7などが報じている。
8歳のディロン・ヘルビッグくんは昨年12月、祖母からもらった真っ赤なワニ革風の日記帳に執筆していた81ページにも及ぶ大作絵本「The Adventures of Dillon Helbig’s Crismis(ディロン・ヘルビッグのクリスミスの冒険)」を完成させた。
日記帳にタイトルと「ディロン・ヘルビッグ本人による」と著者名を書いた紙を貼り付けて本としての体裁を整えた。クリスミスは、クリスマスのスペルを間違ったディロンくんの誤植だ。
数日後、ディロンくんはボイシの図書館へ訪れた際、同行した祖母には内緒でこの自作の本をそっと棚へと滑り込ませた。家族以外の人にも読んでもらいたかったのだ。2日後、再度図書館に赴くと、自分の本はなくなっていたという。
彼は母親に図書館でのことを告白。母親は図書館に電話し、息子のノートをもし見つけたら捨てないでおいてほしいとお願いした。
本棚からディロンくんの本を見つけた館長のアレックス・ハートマンさんは、The Washington Postの取材に対し、「ずるい行為ですよね」と笑いながら答え、こう続けた。
「ディロンくんは自信にあふれた、優しい男です。彼は自己顕示欲からではなく、ただ純粋にこの物語を共有して、楽しんでもらいたいと思ったのでしょう。彼は図書館のヘビーユーザーですから、どんなふうに本が共有されるか知っているんです」
「The Adventures of Dillon Helbig’s Crismis」は、ディロンくんが、クリスマスツリーの飾り付けをしていると、てっぺんの星が爆発し、最初の感謝祭の日にタイムスリップしてしまうという冒険譚だ。ディロンくんが色鉛筆で描いた挿絵がふんだんに盛り込まれている。
ハートマンさんは本を家に持ち帰って6歳の息子に読んで聞かせたところ、「今まででいちばんおもしろい!」と喜ばれたそうだ。
図書館の司書たちもこの本を読み、「形式にとらわれず、非常に型破りではあるが、読んで楽しい高品質な物語である」と意見が一致したと、The Washington Postは伝えている。
ハートマンさんはディロンくんに、この本にバーコードを付けて、正式に図書館の蔵書として収蔵させてほしいと依頼。現在では、ディロンくんの処女作は全世代向けのグラフィックノベルコーナーに置かれているという。
また、図書館はディロンくんのために、図書館のマスコットであるフクロウをモチーフにした「Whoodini 最優秀若手作家賞」を創設し授与した。
「The Adventures of Dillon Helbig’s Crismis」の貸出には、早くも順番待ちの長いリストが作られているという。その人気ぶりに応えるべく、ディロンくんは早くも続編の執筆に取りかかっていると、KTVB7は報じている。