《今後、追悼番組が放送されるだろうが、称賛で終わるのではなく、彼が撒き散らしたレイシズム、性差別、障害者差別等についても、なかったことにしないでもらいたい》
2月1日、こうツイートしたのは社会民主党の大椿裕子副党首(48)。同日に石原慎太郎さん(享年89)の訃報を報じたNHK WEBの記事を引用した形だが、この“所感”が物議を醸している。
芥川賞作家であり、東京都知事や運輸相を歴任したことでも知られる石原さん。しかし、生前に差別的な発言でしばしば批判を浴びたこともあった。
「たとえば、都知事選に出馬した’99年に重い障害を持つ患者が治療を受けている病院を視察し、『ああいう人ってのは人格あるのかね』とコメント。さらに翌’00年3月には雑誌のインタビューで、都に男女平等参画基本条例が制定されるにあたって『いいかげんにしてくれよと思った』と発言したことも。’13年5月にも旧日本軍の従軍慰安婦問題をめぐって、『軍と売春は付きもので、歴史の原理みたいなものだ』と語るなど、幾つもの失言が取り沙汰されました」(全国紙記者)
そんな石原さんについて、大椿氏は続くツイートで《お元気な間に、ご自身がなされた外国人、女性、障害者、性的少数者等に対する差別発言の数々について、反省の言葉や謝罪の言葉が聞きたかった、それがなかったのは非常に残念だという気持ちを持っています》とも綴っていた。
しかし故人を弔う言葉もなく、一方的に石原さんへの“不満”を露わにしたことに《お悔やみの一言もないんですね》や《人が亡くなった時にいう事かよ》《共産党の志位氏ですらお悔やみ申し上げてますよ》などと批判の声が上がっている。
実業家の堀江貴文氏(49)も2日に、Twitterで《政治的に思想が異なる人が亡くなっても、亡くなった時くらい素直に追悼してやれ、って思うけど左翼の人は追い詰めるのが普通みたい》と不快感を表していた。
その一方で、大椿氏を擁護する声も上がっている。
《大椿氏のこのコメントに対して道徳心がないとは思わないし、亡くなった時だからこそ賞賛するだけでなく、過去の問題発言についても伝えるべきだと思います》
《そもそも大椿氏はこのさき放送されるであろう追悼番組のあり方について希望を述べているのであって、石原氏を直接批判しているわけではない。追い詰めてもいないし》
各メディアによると共産党の志位和夫委員長(67)は、石原さんの逝去に際して「心からのお悔やみを申し上げたい」とコメント。生前の政治活動などについてはコメントを控えたという。各党によって訃報への対応も分かれた石原さんの死。思わぬ方向で議論が巻き起こってしまったようだ。