「母の『生まれてきてくれてありがとう』という言葉に掛けて、私も『生んでくれてありがとう』と伝えたいと思います」
3月17日、初めての記者会見に臨まれた愛子さま。20年前、雅子さまが目を潤ませながらご出産時のお気持ちを語られていた。その言葉になぞらえて、母への感謝を述べられたのだった。
30分に及ぶ会見で、ほとんど原稿に目を落とすことなくお話しになった愛子さま。ご自身の長所を「強いて申し上げるなら、『どこでも寝られるところ』でしょうか」とお話しになるなど、ユーモアも光った。
精神科医で立教大学教授の香山リカさんは、会見でのお話しぶりに親子の絆を感じたという。
「今回の会見は、愛子さまが天皇皇后両陛下とご一緒に作り上げられたという印象を受けました。真面目でありながらもユーモアを交えたお話しぶりは、天皇陛下や雅子さまの会見のスタイルを取り入れられたのでしょう。
雅子さまは、ご自身の体調が万全でないなかで愛子さまのことを最優先に、子育てされてきました。批判を浴びながらも登校への付き添いをされたこともありました。立派な会見をご覧になって、雅子さまは達成感というか、これまでの努力が報われたというお気持ちになられたと思います。母としての節目を迎えられた雅子さまは今後、ご自身らしさをもっと発揮できるライフワークに取り組まれるといいでしょう」
そんな中、雅子さまは水面下ですでに活動を始められていると語るのは宮内庁関係者。
「実は、雅子さまは“皇室外交”の最前線に立とうと、準備を進められているのです。ウクライナ情勢をはじめ、海外情勢について詳しい人物から話を聞いています」
両陛下は3月15日、外務省の岡野正敬・総合外交政策局長からのご進講を受けている。
「岡野氏は欧州局ロシア課長を務めた経歴があり、国際法にも詳しい。ウクライナ情勢については専門家といっていいでしょう。しかも、雅子さまとは非常に縁の深い人物です。外務省入省は’87年で、雅子さまと同期。さらに、雅子さまの父で元外務事務次官の・小和田恆さんとも親交があります」(前出・宮内庁関係者)
昨年出版された小和田恆さんの国際司法裁判所退官を記念する論文集の編集代表を務めたのが岡野氏なのだ。“盟友”ともいうべき人物を頼った雅子さま。ロシア軍は昨年秋ごろからすでにウクライナ周辺に集結し、緊張が高まっていた。両陛下は、昨年11月、今年1月にも岡野氏と面談している。
“3連続”のご進講は、雅子さまのウクライナ情勢への関心、そして“皇室外交”への意欲を物語っているといっていいだろう。
《世界に目を向けても、貧困や、難民の増大、テロによる多くの犠牲者の発生など、課題は山積しています。人々が、広い心を持ってお互いの違いを乗り越え、共に手を携えて英知を結集し、様々な問題の解決に向け一致して取り組むことが、今の世の中で大切になっていると感じます》
雅子さまは’16年12月の誕生日の文書回答にこう綴られていた。
「雅子さまは、世界の平和を願う強いお気持ちを持っていらっしゃいます。しかし、体調の問題もあって思うように取り組めない日々が10年以上も続きました。皇后となられてからも、コロナ禍に海外訪問を阻まれています。そういった状況下でも、雅子さまは世界情勢についての情報収集は欠かさず、研鑽を続けられているのです。それは“平和外交の最前線に立ちたい”という強い思いを抱かれているからです。雅子さまはご自身のキャリアを生かし、令和の皇后としてできる限り世界平和に貢献したいというお気持ちなのです」(皇室担当記者)
愛子さまの会見でも、ウクライナ情勢に話が及んだ。
「ウクライナ国内で多くの尊い命が失われていることに非常に心を痛めております」
ロシアの侵攻開始から1カ月、国連によると民間人の死者は千人を超えたという。皇室の方々は政治的発言に慎重にならなければならないお立場だが、それでも愛子さまはご自身のお気持ちをしっかりと示された。
1カ月前の誕生日会見で、天皇陛下は「国と国との間では、様々な緊張関係が今も存在しますが、人と人との交流が、国や地域の境界を越えて、お互いを認め合う、平和な世界につながってほしいと願っております」とおっしゃっていた。
愛子さまはこの言葉を引用され、「私もこのお考えと同じ思い」と述べられた。そして、中学の卒業文集で世界の平和を願う文章を綴られたことに触れ「私は今でも平和への強い願いを持っております」と明言された。
「ただでさえ緊張する会見の場で、愛子さまは堂々と平和を訴える発言をされました。その毅然としたお姿は、平和外交の最前線に立とうとされる雅子さまの背中を押したのではないでしょうか」(前出・皇室担当記者)
分断された世界に、雅子さまが希望の光を灯すーー。