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商品の値上げが連日報じられるなか、まだその発表がされていない品目もある。“原材料比率”という視点に立って考えてみると、今後の値上げの傾向が見えてくるという――。

 

「急激な円安の進行が止まらず、4月20日には一時1ドル129円台をつけました。約20年ぶりの水準ですが、この傾向が変わる要素は見当たりません」

 

こう話すのは、市場の動向に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。

 

今年3月には1ドル115円台で推移していた円相場が、1カ月足らずで15円もの円安に。この異常事態は、家計にも大きな影響を及ぼすことになるという。

 

帝国データバンクの4月の調査「企業の今後1年の値上げに関する動向アンケート」によれば、今後1年以内に値上げを行うと回答した「飲食料品・飼料製造」企業は「73.1%」にのぼる。

 

「原油価格高騰と流通網の混乱、ウクライナ情勢という値上げの要因に、輸入物価を押し上げる円安が加わったことで、値上げの対象は今後ほぼ全品目に広がると予想されます」(加谷さん・以下同)

 

今年はすでにパンやパスタなどの主食をはじめ、食用油、みそ、ティッシュなど、生活必需品の多くが値上げされた。間髪入れず、5月以降の値上げも続々と発表されている。

 

6月の値上げ予定が目立つが、加谷さんによれば、この傾向を読み解くための指標があるという。

 

「“商品の価格”に“原材料の費用”が占める割合を『原材料比率』といいます。この比率が高いほど値上げサイクルが速い、という傾向があります。原材料比率を商品カテゴリー別に把握しておくと、家計を守るための指針にもなるでしょう」

 

そこで、加谷さんが独自に調査した原材料比率をもとに、値上げのサイクルについて解説してもらった。

 

まずは、すでに多くのメーカーが値上げを実施したパンについて。

 

「パンの原材料比率は30~40%です。小麦を焼き上げてから店頭に並ぶまでの工程が少ない=原材料費率が高い商品の代表格です」

 

同様の原材料比率が6月値上げの「スープ、ソース、食酢」。7月の「オリーブオイル」(35~40%)もほぼ同じカテゴリーと考えてよい。

 

「原材料費の高騰が販売価格に直結しやすいため、企業が値上げをせずに我慢できる幅が狭い、とも言えるのです」

 

原材料費が今後も上がれば、さらなる値上げも予想されるという。

 

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