ドラマのような逃亡劇は、まさにドラマのような幕切れを迎えた。
米アラバマ州で、刑務所から逃亡した殺人犯と女性看守がついに捕らえられた。
先月29日に、殺人で起訴されているケイシー・ホワイト(38)を「精神鑑定のため」と虚偽の報告をして連れ出した刑務官のヴィッキー・ホワイト(56)。
ファミリーネームは同じだが、2人に血縁関係はない。近くのショッピングセンターで車を乗り換え、逃亡を続けていた。
AP通信によると、9日にインディアナ州エヴァンスビルで連邦捜査官が2人の乗る車を発見。追跡はカーチェイスとなったが、最後は捜査官が車を逃走車に衝突させることで、力づくで2人を止めたという。
ケイシー・ホワイトは投降したが、ヴィッキー・ホワイトは車内で拳銃自殺を図り、搬送先の病院で死亡が確認された。
アラバマ州ローダーデイル郡保安官事務所のリック・シングルトン保安官は、「私たちは今日、危険な男を捕まえることができました。彼はもう二度と日の目を見ることはないでしょう。それは我々の地域のみならず、この国にとってもよいことです」とAP通信の取材に答えた。
ケイシー・ホワイトは逃亡時、殺人未遂や強盗などの罪で計75年の実刑判決を受けて服役しており、それに加えて2015年の殺人事件でも起訴されていた。有罪になれば死刑になる可能性も低くないという。
BBCによると、ヴィッキー・ホワイトは真面目に職務をこなす模範的な刑務官だったようだ。
ローダーデイル郡のクリス・コノリー地方検事は、「私はヴィッキーを信頼していました。刑務所で何か必要なものがあれば、彼女はとても頼りになる存在でした。だからこそ、とてもショックを受けています」と記者団にコメントした。
ヴィッキー・ホワイトの家族や同僚も、彼女の今回の行動はとても信じられないと口々に語っているという。
ただシングルトン保安官は、「今にして思えば、この計画は以前から練られていたものだと思います。他の受刑者に話を聞くと、2人は特別な関係にあったようで、彼女はケイシー・ホワイトに明らかに良い待遇を与えていたそうです」と、前出のAP通信に取材に対して語っている。