I Purple You。韓国語で「ボラへ」、日本語では「紫するよ」。ARMY(BTSのファン)なら誰もが知っている、“相手を信じて末長く愛し合おう”という言葉だ。
ARMYに向けて、そして国連やホワイトハウスから、世界に向けて愛のメッセージを届けようとする存在となったBTS。
惜しみない愛を与えるその姿の原点には、練習生時代に培われた友情と結ばれた絆があったのだーー。
「BTSは、『Dynamite』(’20年の世界的大ヒット曲)のころまでは自分の手の上にあったけれど、今は自分たちがどんなグループなのかわからなくなった。韓国のアイドルシステムは、人として成熟するための時間を与えてくれない」
リーダーのRM(アールエム・27)が心の内を語ったのは、6月14日、世界的な人気を誇るBTSのユーチューブ公式チャンネルでのことだ。メンバー7人が集まったデビュー9周年記念の会食動画で、「グループ活動休止」が宣言されたのである。
RMの発言に続き、多くの楽曲を手がけてきたSUGA(シュガ・29)は「いまいちばん難しいのは歌詞を書くこと。何を言うべきなのかわからない」と告白。「自分が機械になった感じがする」とはJIN(ジン・29)の言葉だ。JUNG KOOK(ジョングク・24)は、「一段階成長してから、みんなで戻ってくる日があるだろう」と語った。
世界に衝撃が走った突然の宣言の翌日には、「完全な活動休止ではなく、ソロ活動も並行するということだ」と公式発表がなされたが、波紋はいまだ収まっていない。
BTSが、「防弾少年団」というヒップホップアイドルグループとしてデビューしたのは、’13年6月13日のことだ。試行錯誤の3年後、『I NEED U』で韓国のトップアイドルに躍り出るや、彼らの快進撃が始まった。
世界進出を視野に、防弾少年団の英字表記「BangTan Sonyeondan(バンタン・ソニョンダン)」の略称BTSがグループの呼び名に。’18年にアルバム『LOVE YOURSELF轉’Tear’』が米ビルボード・アルバム・チャートで1位に輝き、初の英語楽曲『Dynamite』もシングルチャート1位に。
翌’21年に発表した『Butter』に至ってはビルボードHOT100初登場から7週連続1位、ユーチューブではMVが24時間で1億820万回という最多再生記録を叩き出した。
今年4月には『Butter』で2度目のグラミー賞にノミネートされ、会場でパフォーマンスを披露。BTSは、まばゆいまでの実績と影響力を世界中に刻んできた。
そんな彼らが「グループ活動休止」を涙ながらに語った今だからこそ原点に返り、7人それぞれのデビューまでの軌跡を追いたい。