《もう感無量胸いっぱい幸せ空間すぎた…》
《まじ途中泣きそうになってやばかった…同じ時代を生きれただけでまじ幸せ》
SNSに投稿されたこれらの声は、7月20日から東京・新宿高島屋で開催されている『ALL TIME BEST 矢沢あい展』へ足を運んだ人たちの感想だ。
人気漫画『天使なんかじゃない』や『ご近所物語』、『NANAーナナー』など数々の名作を生み出した漫画家・矢沢あいさん(55)が自ら総監督を務めた初の展覧会。SNSでも「感動した」という声が相次いでいるように、開始早々から盛況ぶりを見せているという。
「平日にもかかわらず、たくさんのファンが訪れています。現在、発売中の前売券は7月末までほとんどの時間帯が売り切れ状態となっています。およそ300点に及ぶ矢沢先生の肉筆原画や下絵が間近で堪能でき、グッズも豊富です。会場には矢沢先生と親交の深い、吉住渉先生、水沢めぐみ先生、小花美穂先生からのお花も届いていました」(イベント関係者)
本展覧会は8月8日まで東京会場で行われ、以降は大阪や横浜、岡山など全国を巡回する予定だという。
一方で、矢沢さんが病気を理由に『NANAーナナー』の休載を発表してから13年が経つ。本作は’00年に『Cookie』(集英社)で連載が始まり、コミック21巻で発行部数は5000万部を記録。’05年には中島美嘉(39)と宮崎あおい(36)のW主演で映画化され、大ヒットとなった。
『NANAーナナー』の連載再開がいまも待ち望まれるなか、矢沢さんの貴重な“肉声”が伝えられたのだ。
7月21日に配信された「日テレNEWS」では、矢沢さんのインタビューを紹介。矢沢さんは展覧会を開いた経緯について、《不安もありましたが、再開を心待ちにして下さっている読者の方々に、少しでも楽しんでもらえる場が作れたら! と思い、開催を決意しました》と語っている。
また、ファンに向けたメッセージでは、《みなさんに楽しんでもらいたい一心で展覧会の準備に取り組みながら、以前より体力も取り戻せているように感じました。今後は体調管理しつつ、少しずつでもまた作品を描いていけたらと思っています》と呼びかけていた。
矢沢さんが休載に入って間もない’10年4月上旬、本誌は矢沢さんを目撃している。東京都心にある大病院前でタクシーを降り、少し辛そうな様子で歩いていた。
プライベートがほとんど伝えられていない矢沢さんだが、本誌は’05年に東京郊外にある自宅で独占インタビューを行ったことも。当時、矢沢さんはマンガを描き続けてきた半生をざっくばらんに話してくれた。
病院前で矢沢さんを目撃した後日、本誌は彼女に声をかけた。最初は戸惑いぎみだったものの、5年前の取材を思い出したのか、笑顔を見せてくれた。
記者が「お体の具合はいかがですか?」と問うと、矢沢さんは丁寧な口調でこう話してくれた。
「ファンの方が心配してくださっているんですか。でも、ごめんなさい。今はまだ、仕事再開の目途は正直、立っていない状況なんです。元気になったらきっとまた『NANA』を皆さんにお届けできるようになると思います」
前回の取材時に「睡眠時間は毎日2時間」と話していたことに触れると、矢沢さんは「今思えば、それがよくなかったんじゃないかなと思うんですけど……」と切り出し、こう続けた。
「前に一度、倒れて、再開し、無理してすぐにまた、倒れてしまったという苦い経験があるので。今回は絶対にその轍を踏まないように、ちゃんと治してから再開したいと思っています。倒れてから、まだ一度もペンは握っていません。ゆっくり、のんびりさせていただいています」
そして最後には、復帰への思いを次のように話してくれたのだった。
「決して治らない病気にかかっているわけではないんです。なので、どうか私に時間をください。『気長に治療をすれば、少しづつ回復していく』と、医者の先生もおっしゃってくださっているので。この矢沢あいを信じて、ファンの方には見守っていただければなと思っています」
矢沢さんが展覧会を「楽しんでもらいたい」と願う気持ちは、きっと多くのファンに伝わっていることだろう。