Twitterで、海外旅行先で他人の荷物を預ることについて議論が巻き起こっている。発端となったのは、9月3日に文化人類学者でモンゴル研究を行っている島村一平氏がTwitterに呟いた投稿だ。
投稿によると島村氏は博士研究員時代、学会の帰りロンドンの空港で手荷物の超過料金が支払えずにいたという。
空港カウンターで職員に「大事な本だから見逃してほしい」と懇願したものの拒まれた島村氏は、日本人の50代と思しき女性2名や大学生らしい3人組に事情を説明し、「少しだけ本をもっていただけないでしょうか?」とそれぞれに依頼したものの、いずれも拒否されることに。ところが、たまたま通りかかったモンゴル人の俳優率いるグループに依頼したところ、快諾してくれたという。このエピソードを披露した上で、島村氏はこう呟いた。
《日本では、「外国に行くと他人の荷物を持ってはいけない」と教えられる。麻薬などを持たされる可能性があるからだ》
《問題はその情報を鵜呑みにするか、自分の頭で判断するかの違いだ。おそらくモンゴル人の俳優は、日本人の私がモンゴル語を話し、学術書を大量に持っているのを見て、犯罪と関係のある人物ではないと「判断」した。だから持ってくれたのだと思う》
《長年、モンゴルの人々と付き合っていて思うのは、新聞やニュース、本といった情報を頭ごなしに信じずに、自分で判断する人が多いという点だ。どっちがいいか、悪いかではない。ただ思考パターンが異なる彼らに救われることもあった、という話》
一部では島村氏の一連の投稿に、「いい話」と称賛する声もあったが……。
「’09年、他人から荷物を預かった日本人女性がマレーシアの空港で逮捕されるという事件がありました。実はその荷物の中に、覚醒剤が入っていたためです。『中身は知らなかった』と女性は証言したものの、’15年に死刑が確定しています。
こうしたケースもあり、日本の税関は『他人から預かった荷物でも、自分が携行した荷物については責任が問われる。簡単に荷物を預からないように』と呼びかけています」(全国紙記者)
その後、島村氏は前述のツイート群を削除氏。5日には《先日、誤解を与えるようなツイートをしてしまい、申し訳ありませんでした。そもそも脱法行為の助長を意図したものではありませんでしたが、今後、そのようなツイートをしないよう気をつけるよういたします》と謝罪した。
しかし波紋は広がっており、ネットでは「依頼を断った日本人も、自分の頭で判断したのでは?」とし、こんな声が上がっている。
《海外で見知らぬ人からの「荷物を持ってくれ」は絶対に手伝ってはならない。断った日本人の判断は正しい。万一運び屋をやらされ逮捕されれば、最悪の場合人生が終わってしまう事も有り得る 島村一平氏は、他人の被るリスクをあまりに軽視し過ぎ》
《他人の荷物を運ぶことは絶対にだめです。頼んできた人が日本人であろうと人の良さそうな人であろうと学生であろうとです。それはなぜか。違法薬の密輸犯罪に巻き込まれる可能性があるからです。島村氏は批判していますが断った日本人たちはそのリスクを回避した「自分の頭で考えた人たち」です》
《普通に考えて知らん人から荷物を預かるなどして面倒に巻き込まれたくないだろう。断った方達は自分の頭で考えて拒否したので間違っていないよ》