回転寿司店での悪質行為を収めた動画が立て続けにSNS上で投稿・拡散され、波紋が広がっている。
回転寿司チェーン「はま寿司」で撮影された、他人の注文を横取りして食べるという動画とレーン上の寿司にわさびと思われるものを乗せるという動画が1月上旬から立て続けに拡散され炎上。さらに29日には「スシロー」で醤油さしを舐め、唾液をつけた指でレーン上の寿司に触れるという動画が拡散され、批判を集めているのだ。
それぞれの悪質行為に対し、回転寿司チェーンはいずれも警察に相談するなど厳正に対応すると発表している。特に「わさび乗せ」動画については、「はま寿司」が加害者側からの謝罪を拒否し、警察へ被害届を提出する見通しであることが明らかになった。
一体なぜ、こういった回転寿司店での悪質行為を収めた動画投稿が相次いでいるのだろうか。回転寿司店が狙われる要因や今後取るべき対策について、フードジャーナリストの山路力也氏に話を聞いた。(以下、カッコ内は全て山路氏)
まず、現在拡散されている動画や悪質行為について「まったく理解が出来ません」とした上で、山路氏は加害者たちが悪質行為に至った原因を、こう考察する。
「SNS(動画系)などで盛り上がるのでは、という浅はかな考えから愚行に及んだものと思われます。おそらくそれ以前にもこの手のいたずらをする輩はいたと思いますが、SNSが無ければその数は随分減るのだろうなと思います」
さらに、飲食店の中でも回転寿司店が狙われているのは、そのシステムが原因だという。
「気軽に便利に利用出来るという側面がいたずらのしやすさにつながっているのではないでしょうか。あくまでも回転寿司のシステムは“性善説”に基かれており、悪意のある客はいないという前提で作られています。現状のシステムでは、いたずらは防ぐことができず、このようないたずらが相次ぐと、安全性の観点から店は何かしらの対策を打たねばならなくなるでしょう」
回転寿司ではレーン上を動く商品を、自らの手で気軽に選び取ることが出来る。店側としても、配膳や注文をとるスタッフを削減できることから、こうした提供方法には双方にメリットがあると考えられてきた。しかし、このような提供される商品と客の“近さ”や、店員の目の少なさは悪質行為に対してはぜい弱だ。山路氏は今後の店側の対応が重要になると語る。
「まずは今回のような客に対して被害届を出したり訴訟を起こすなど、店として厳しい態度で臨むことが重要です。他にはレーンの仕組みの改造(他者の前を通さない/特急レーンなど)や、提供方法の変更も必要かも知れません。『くら寿司』の抗菌寿司カバーは今回のようないたずらにも効果がありそうです」
今回の騒動で、回転寿司文化はなくなってしまうのだろうか……? 山路氏は「基本的には変わらない」と推察している。
「瞬間的に影響は出るかも知れませんが、中長期的に見れば客足が減ることもないのではないでしょうか」
手軽においしい寿司を食べられる回転寿司。各社の今後の対応が注目される。