少し暖かい陽光が差し込んだ2月7日、東京・上野公園にある日本学士院に秋篠宮ご夫妻は足を運ばれていた。若手研究者に贈られる日本学術振興会賞などの授賞式に出席されるためだったが、この日の紀子さまの笑顔はいつにもまして朗らかで、柔らかい。
一足早い春の到来とばかりに、紀子さまの表情がにこやかな理由は、ある“晴れ舞台”への道が開けたからだった。
「昨年9月に、女王として英国史上もっとも長く在位していたエリザベス2世が亡くなり、チャールズ3世が英国王に即位しました。
戴冠式は5月6日(現地時間)に執り行われるのですが、皇室からは秋篠宮ご夫妻がご出席することが決まったそうです。世界中が注目する一大イベントへ臨まれるとあって、紀子さまはかなり張り切っていらっしゃるそうです」(宮内庁関係者)
ロンドンのウェストミンスター寺院で挙行される戴冠式は、英連邦各国の首脳ばかりでなく、世界中の王族や国家元首らが招かれて集い、盛大に新国王の即位を祝う。1953年のエリザベス2世の戴冠式では、当時最新メディアだったテレビ中継が行われ、英国だけで2千万人が視聴した。
「今回のチャールズ3世の戴冠式も、世界各地で数億人が視聴すると英メディアは報じています。なによりも、ベルギー、オランダ、スペイン、デンマーク、スウェーデンなどといった欧州の王族が一堂に会する場となります」(皇室担当記者)
皇室の歴史を振り返ると、エリザベス2世の戴冠式には昭和天皇の名代として当時は皇太子だった上皇さまがご出席。1937年のジョージ6世の戴冠式には、昭和天皇の弟である秩父宮雍仁さまが名代として出席されている。世界の王室事情に詳しい関東学院大学教授の君塚直隆さんはこう話す。
「英国では戴冠式に国王や女王が出席しないという慣例が昔からありました。エリザベス2世の戴冠式に、スキャンダルのために退位した女王の伯父で元国王のエドワード8世が出席できないよう、明確にルールが定められたという経緯があります。
2019年の天皇陛下の即位礼には、オランダからはウィレム=アレクサンダー国王、ベルギーからはフィリップ国王が出席しています。一方で英国からはエリザベス2世ではなく皇太子であったチャールズ3世が、デンマークからはフレデリク皇太子が出席しました。“即位する君主よりも格上となる立場の君主は出席しない”というルールは英国では明確ですが、こだわらない王室もあるのです」