「37年間、信じられないほど長く続いたこの番組。新年度は新司会者に新風を吹き込んでもらい、より魅力的な番組になるように努めていただきたい」
3月8日、こうコメントしたのは草野仁(79)。この日、’86年4月のスタート以来、人気クイズ番組『世界ふしぎ発見!』(TBS系)の司会を務めてきた草野が4月15日放送回で勇退することが発表された。後任の司会を石井亮次アナウンサー(45)が務め、今後は「クイズマスター」という肩書で出演することとなった。
「草野さんは東京大学卒業後、NHKに入局。第一志望は記者でしたが、アナウンサーになるよう命じられました。不本意だったものの、スポーツ担当のアナウンサーとして才能を開花させ、’84年のロス五輪では特別番組の総合司会に抜擢されるまでに。そして翌年春に退局し、『ふしぎ発見』はその1年後にスタートしました」(テレビ局関係者)
フリー2年目、42歳で『ふしぎ発見』の司会を担当することとなった草野。以降、37年にわたって情熱を注ぎ続けてきた。
「『ふしぎ発見』で草野さんは、過去を扱いつつも現在とのつながりを浮き彫りにするなど、“他番組とは違う切り口を持つ”ということを大事にしています。また視聴者が楽しめるようにヒントを出したり、出演者からトークを引き出したりすることも重要と考えているため、できる限り収録予定の番組テーマを予習し、あらゆる話題に対応できるよう努めているんです。
また視聴率を気にすることもしばしばです。特に近年はネットが発達し、簡単に情報が手に入る時代なので『テレビを見るということが皆さん苦手になってきている』と思い、“どうすれば見てもらえるか”についてスタッフたちと議論を交わしてきました」(前出・テレビ局関係者)
そんな草野は、周囲から全幅の信頼を寄せられているようだ。
「ディレクターは草野さんが東大出身でクリーンなイメージを保っていることが、番組視聴者に安心感を与えていると考えているそうです。番組は1665回放送されていますが、草野さんは日課の筋トレの成果もあり欠席は一度もなし。37年もクイズ番組の司会を務めているのは日本で初めてのことですし、番組スタッフはそのタフな姿をリスペクトしています。
草野さんは、かねてから積極的にスポーツの情報発信に取り組めたらと考えていました。これからも、まだまだ元気な姿を見せてくれそうです」(制作関係者)
草野の座右の銘は「意志あるところに道はある」。37年分の意志は、これからも継がれていくはずだ。