「埼玉にある実家が放火されてしまったんですよ。犯人は僕が捕まえたんですが、可愛がっていた後輩芸人でした」
衝撃のエピソードを語るのは、元吉本芸人のエッグ矢沢(37)。おかずクラブ、ニューヨーク、鬼越トマホークなど売れっ子の多いNSC(吉本総合芸能学院)東京校15期で、田村淳がMCを務めた人気バラエティ『クイズ☆タレント名鑑』(TBS系)などに出演していた。
’16年に吉本興業を退社後もYouTubeなどを中心に活動を続け、芸人仲間も数多いエッグだが、なぜ後輩に実家を放火されてしまったのか。
「昨年7月、福岡でイベント出演する日の朝でした。起きたら親戚や消防関係の方から20件くらい着信があって……。室内は荒らされて通帳などが盗まれていたので、最初は空き巣にやられたのかと思っていました」
両親はすでに他界しており、事件当日、家に誰もいなかったのは不幸中の幸いだった。犯人は後日、意外な形で逮捕されたという。
「思い出がつまった実家がぐちゃぐちゃでした。翌日が現場検証で、10日後から取り壊しと決まったのですが、僕は“犯人は必ず現場に戻ってくる”という予感があって、崩れかかった実家で寝泊まりしていたんです。
取り壊しが始まった日のことでした。よく面倒を見ていた後輩芸人Aが、なぜか家の前にいて作業員と会話していたんです。事件のことはごく身近な人にしか伝えていなかったので、“怪しい”と直感が働きました。
声をかけると逃げたので捕まえて、『おまえか?』と聞いたら『違う』と。混乱しましたが、警察に連絡をしました。事情聴取の間は“違ってくれ……”という思いだったので、自白したと聞いたときは腰が抜けましたね」
事件は新聞でも報じられた。容疑者のAは事件の前から吉本興業を退社しているが、定職には就いていなかったという。
「Aのカバンの中からうちの通帳も出てきました。現在は裁判を待っている状態なので、詳しい動機などはわかりませんが、僕に対してなんらかの恨みがあったのでしょう。彼の両親からは謝罪を受けています。
事件から半年以上がたちますが、今も毎日のように思い出しますし、夢に出てきて目が覚めることもあります。まだ感情が整理できていません」
吉本興業を退社後は、ミャンマーで出家し、主にタイや福岡で活動してきたエッグ。いまだ事件の精神的ショックからは回復していないが、この春、結婚することができた。相手は20代のタイ人会計士だ。
「彼女とは昨年春、僕が謎の高熱のためにタイのサムイ島で入院していたときに出会いました。しっかりしていて会話が合うし、ケンカしても仲直りができる。僕もいろんなことがありましたが、コロナ禍も収束に向かっているし、前に進もうということで結婚を決断しました」
これからは夫婦でタイのサムイ島を拠点に活動していくというエッグ。芸人とビジネスの2足の草鞋になるという。
「吉本を退社する時、後悔するんじゃないかという不安がすごくありました。周りの芸人やスタッフさんたちからも、辞めないほうがいいと何度も言われました。
退社から7年たちますが、後悔したことは一度もありません。芸人と会うことが少なくなって寂しいと思うことはあるけど、自分の仕事を自由に判断して、フットワーク軽く動けるのが合っているんでしょうね。夢は叶っています」
大きな苦難がありながらも、組織に縛られずグローバルに活躍する生き方はまさに破天荒。これも新しい時代の芸人の生き方なのだろう。