劇団新派の135年記念舞台『三婆』が6月3日に開幕した(東京・三越劇場にて6月25日まで)。『三婆』は1973年から何度も上演されている演目で、金融業を営む亭主が急に亡くなり、妾と義理の妹が本宅へ転がり込み、奇妙な共同生活を送る物語。お互いにけん制しながら支え合う、女たちの老後問題をユーモアたっぷりに描いている。
今回、劇団新派に演劇を始めて50年の渡辺えり(68)が初参加。実は、新派の看板女優・波乃久里子(77)とはとっても仲よしなのだ。二人の女子会トークをお届けします。
久里子「私たちは仲がいいっていうより、もう姉妹って感じなんです。血は繋がっていませんが(笑)」
えり「出会って30年になりますよね。初めて会ったのが『浅草パラダイス』っていう舞台で。久里子さんが出られなくなったので、私が代役をやらせてもらったんです。そのとき、まったく所作ができていなかったのですが、久里子さんが全部親身になって教えてくれて、大好きになっちゃったんです。とても頼りになる方だなと」
■正月も一緒に過ごした仲
久里子「私が覚えているのは、弟(故・中村勘三郎)が『姉貴、僕の友達がね、正月ぽつんと一人になっちゃうから家族に入れてくれないかな』って連れてきたとき。それから2、3年、お正月は一緒にいましたよね」
えり「そのころは独身だったので、必ず毎年お邪魔していました。普通に皆さんとご飯を食べて朝までビデオを見たりして一緒にダラダラしていましたね。お母さんのベッドに寝たりして」
久里子「家族の中にいても全く違和感がなかったのよね。あと、弟はえりさんが一番好きなのは自分だと思っていたみたいで。ある日の朝4時ごろ、トントーンって怒鳴るような勢いで私の部屋に来て『えり子(渡辺えりの本名)が許せないことを言った。僕と久里子姉ちゃんとどっちが好きなのか?って聞いたら、久里子さんが好きって言いやがった』って。やきもち焼きでね、かわいかった。焼き鳥屋さんに行っても、弟に怒られて私も泣きながら言い返したりして、思えば私と弟はなんだかんだよく喧嘩してました」
えり「今回の舞台では、私たちも喧嘩してますね」
久里子「そうそう。舞台の中で私たちは仲は悪いしお互いを嫌っているのに、最後は一人では生きていられない、ってなって一緒に住むのよね。今の世の中を反映している感じ。すごく深くていいお話だから、ずっとえりさんを新派にお誘いしてたんです。やっと念願が叶いました」
えり「10年くらい前から誘っていただいて、今回初めて新派に入らせてもらいましたけど、今まで私がやってきたやり方とあまりにも違うので泣きましたよ」
久里子「私は太陽みたいなあなたが来てくれてとても楽しいし、嬉しいの。新派に新しい風を吹き込んでくれて、エネルギーもあるから、(水谷)八重子お姉さまも『とっても新鮮』って言って、元気になって若返っていますよ」
えり「久里子さんはいつも若々しい。私より10歳年上だけどお肌つるつるです」
久里子「ほかに褒めるところがないから皮膚がキレイ、ってなるのよね(笑)」
えり「前にフランスの高級クリームを紹介されて私買いましたもんね」
久里子「えっ!ほんとに!外国の人と日本人の皮膚は違うから、海外のものは使わないはずなのに(笑)」
えり「えー、私、紹介されて買いましたよ(笑)」
久里子「あなただってキレイじゃない」
えり「私は年相応になっちゃったんです。京都の南座近くのデパートで、『お若いですね、えりさん』って言われて肌年齢測定したら、実年齢だったんです。もう嘘つかないでください、買いません、って言って出てきちゃった(笑)」
久里子「もう、そうやって面白く話すから楽しいのよ~」