1912年の事故で、北大西洋の水深約4000メートルの深海に沈んだ豪華客船タイタニック号。その残骸を見学するツアーに出た潜水艇が、米国時間18日朝に消息を絶ち、救出活動が続けられている。
BBCによると、操縦士1名と乗客4名を乗せた潜水艇は米マサチューセッツ州ケープコッドからおよそ1500キロほど離れた場所で行方がわからなくなったという。緊急酸素量は70〜96時間分と見られるが、猶予があるとは言えない状況だ。沿岸警備隊やカナダ軍、民間の船舶が協力し、懸命に潜水艇の位置を探っている。
このツアーを提供しているのは、ワシントン州エヴェレットに本社を置く旅行会社「オーシャンゲート・エクスペディション(以下OE社)」。INDEPENDENTによると使用している船体は重量は10432kg、全長6.7mの「タイタン潜水艇」で、同社のストックトン・ラッシュCEOはかつて、この潜水艇を「岩のように堅牢」と評していた。タイタニック見学ツアーの料金は8日間で25万ドル(約3500万円)だという。
今回消息を絶った機体に搭乗していたと見られる乗客の身元についてもBBCが報じている。英国人探検家であり航空機製造会社アクション・アヴィエーション社会長のヘイミッシュ・ハーディング氏(58)、パキスタンの実業家シャザダ・ダウッド氏とその息子スールマン氏、フランス人探検家ポール=アンリ・ナルジオレ氏(73)、そして前述したOE社CEOのラッシュ氏だ。
昨年、報道関係者用のプレスツアーに参加したというCBSのジャーナリスト、デヴィッド・ポーグはこのタイタン潜水艇についてBBCの取材に応じ、次のように語った。
「乗客は外側から締められる数本のボルトによってメインカプセルの中に密閉されます。下船するときは外側からボルトを取りはずしてもらう必要があります。操縦にはXboxのゲーム用コーントローラーが使用され、バラスト(船体のバランスを取るための重し)の一部には廃材の建設用パイプが使われていました。もし水漏れを起こしたとしても、バックアップもなければ脱出用ポッドもありません。最初は即席の船だと思いました」
OE社のWebサイトはアクセスが集中しているためか閲覧できない状態が続いているが、CNNによるとタイタニック号見学ツアーのページは早々に削除されたという。