7月20日に迎えた女性W杯。開幕戦となったニュージーランド対ノルウエー戦の主審を山下良美さん(37)が主審を担当した。日本人がW杯の開幕戦で主審を担当するのは、2014年ブラジル大会以来、女性では初めての快挙だ。
この女子W杯で審判がVAR(主審をサポートするビデオ判定)をスタジアムとテレビ視聴者にライブで説明することが行われたが、山下主審は自分のジャッジについて毅然としたアナウンスで対応。
そんな山下主審の活躍に、ネットでは、
《新しいVARの運用をスムーズにこなし、毅然と判定を下す山下主審の堂々たるレフェリングは印象的でした》
《女性でもここまでしっかりジャッジできると証明してくれたのは素晴らしい》
と、賞賛の声が上がっている。
山下主審は2022年11月22日号の本誌「シリーズ人間」に登場。女性初のプロフェッショナルレフリーとして、去年9月18日、J1リーグ史上初の女性主審を担当。また去年11月20日から開催されたW杯カタール大会に、女性初の主審として選ばれた3人のひとりに決定したことがきっかけで、本誌のインタビューに応じたのだ。
山下主審が本誌に語ったところによると、去年9月に開催されたフォーリンプレスセンター主催の世界30カ国の記者が集まる会見で、次のように質問に答えたという。
ーー判定ミスをして「女性主審だからダメだ」と思われることはありませんか? ジェンダーバイアスにはどう向き合いますか?
「私自身はそういうことに出合ったことはありません。もしそういうことがあったら、しっかり向き合い、審判員としてやるべきことをしたいと思います」
本誌が山下主審に「圧倒的に男性が多いサッカー界で、どんな苦労があったのか?」と聞くと、
「まず、困難や苦労は感じずにここまで来ています」と前置きして、このように続けた。
「しかし、過去を道を切り開いて来られた先輩方や、周りのスタッフの尽力によって、私たち女性がそれらを感じずに活躍できている。そこに感謝をしているんです」
これからも山下主審のホイッスルは、女性審判員のパイオニアとして、世界最高の舞台で響き続けていくことだろう。