「團十郎さんが、成田市の観光大使に選ばれ、大々的に任命式が行われてから8年がたちました。しかし、彼が成田市をPRしてくれたおかげで観光客が増えたとか、成田市のイメージがアップしたといった実感はありません。
こちらに来て、成田市主催のイベントに出席するのも年に1~2回ほどです。それにもかかわらず、年間3千万円以上を払い続けているのは、“税金の無駄遣い”としか言いようがありません」
そう憤るのは、千葉県成田市の市役所関係者・Aさんだ。
十三代目市川團十郎白猿(45)が、観光大使役である“御案内人”を成田市から指名されたのは’15年春のこと。7月に出席した任命式で、彼はこう語っていた。
「(成田山)新勝寺は父との思い出が多いので、任命はすごくうれしいです」
團十郎は今年令和5年度までの9年間(※3年契約で3回)、御案内人を務めている。前出の市役所関係者・Aさんが続ける。
「その間ずっと團十郎さんに報酬が支払われていることについては報道もありませんし、成田市も告知していません。そのことを知って私も非常に驚きました」
Aさんの告発を受けて、本誌は成田市の「令和5年度予算特別委員会 予算審査資料」を入手した。資料には「市川團十郎白猿プロジェクト」の委託料として約6168万円という金額が記載されている。
その内訳によれば、市川團十郎公演諸経費が1217万円、イベント企画などの年間管理委託が825万円……、もっとも多額なのが成田市御案内人の稼働や肖像権使用などへの支払いで3300万円だった。
「プロジェクトのために毎年6千万円前後の予算が組まれています。そのうちの3300万円が“成田市御案内人”團十郎さんへの報酬なのです。
この数字は9年間ほぼ変わらず、合計すると報酬は3億円近くにのぼります。本来は市の広報誌などにも歳出として明記されるべきだと思うのですが、團十郎さんの件に関する詳細は省かれていて、市民は知る機会がないのです。
成田市のための稼働については、團十郎さん本人が出演する歌舞伎公演が実施される年はまだマシなほうで、プロジェクトの実績とされている『歌舞伎講座』や『歌舞伎衣装展』には、本人は姿を見せません。そもそも観光大使が、これほど多額の報酬をもらっている例はほかにあるのでしょうか……」