専修大学のサークル「専修大学戦史研究会」がコミックマーケットでナチス親衛隊のコスプレをし、その写真をX(旧ツイッター)で公開したことが波紋を呼んでいる。
同サークルは、軍事や安全保障、歴史、政治などを研究し、会報・他校戦史研との交流・講演会参加・自衛隊基地見学などの活動を行っている大学の非公認サークル。
問題の投稿は8月13日に開催されたコミックマーケットで撮影されたもの。襟元にSS襟章をつけ、鉤十字がついたネクタイピンを刺すなど、ナチス親衛隊の制服を着用した同サークルのメンバーが、顔にボカシを入れた状態で、同サークルが発売する著作物を宣伝する内容だった。現在この投稿は削除されている。
Xのコメント欄には《【戦争を研究】しているのに》《あまりにも軽率》などと、ナチスを賞賛するとも受け取られかねない表現を問題視する声が続出。さらに、ユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」に通報したなどの書き込みまで見られた。
翌日の14日に同サークルはXに謝罪文を投稿。《この度、8月13日のコミックマーケット102(以降C102)における新刊の広報写真としてナチス親衛隊の制服を着た当会会員の写真を用いて、X上で会報の宣伝を行ったところ、皆様から数多くのご意見及びご批判を頂くこととなりました》と説明し、《C102における不適切な広報写真の投稿により、皆様に多大なご迷惑をお掛け致しましたことを深くお詫び申し上げます。広報写真としてこのような写真を用いることは、思慮に欠ける行動であったと深く反省しております》とした。
さらに、《今後は、SNS上に写真を掲載するときは、二名以上で確認してから掲載するなど、再発防止策を徹底し、このような形で皆様にご迷惑をおかけすることのないよう努めてまいります。改めて皆様には多大なご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございませんでした》と再発防止の対策まで含めて謝罪した。
「過去には、アイドルグループ『欅坂46』のメンバーらが、ハロウィンの仮装としてナチスの制服に酷似した衣装を着用し、ユダヤ系人権団体が同グループが所属するレコード会社とプロデューサーに対し謝罪を要求するなどの騒動に発展したこともあります。
ナチスを模したパフォーマンスは、ドイツでは処罰の対象にもなり得るもの。“表現の自由だ”と擁護する人もいますが、つい最近では映画『バービー』の公式Xが原爆投下をネタにして日本国内で炎上し、謝罪に追い込まれました。自国の歴史でなくても、歴史的な悲劇に対する無神経さは、“不謹慎”程度では済まされないのではないでしょうか。大学名を冠したサークルですから、大学の評判を落とすことにもなりかねません」(全国紙記者)
今回の騒動について専修大学に見解を求めたところ、担当者は次のように話した。
「専修大学では、これまでSNSのトラブル防止セミナーといったものを行うなどして、注意喚起を行っています。今回の件については、戦史研究会も速やかに謝罪を行っていますけれども、大学としても適切な指導を今後行っていく所存であります」
SNS上のトラブルという問題に矮小化するのではなく、他国の歴史的悲劇への認識を改めるべきなのかもしれない。