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10月11日、札幌市と日本オリンピック委員会(以下、JOC)は都内で会見を開き、2030年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致を断念することを発表した。同団体らは、34年大会以降の誘致を目指していくという。

 

会見内で「かなり招致実現のチャンスがあった」と振り返るように、一時は最有力候補ともいわれていた札幌開催。だが、JOC会長の山下泰裕氏は「市民の理解が進んでいない。30年大会ありきで拙速に招致を進めることは好ましくない」と開催を断念した理由を述べた。

 

市民の理解が進んでいない理由として、札幌市の秋元克広市長は2021年の東京五輪での汚職事件や大会運営費が増大したことを挙げた。さらに、34年以降の招致も「かなり厳しい状況」との認識を示した。

 

まさに、”市民理解が進んでいない”ことを象徴するように、この会見後、誘致の是非を問う住民投票を要請する市民団体が、署名活動の継続を発表。しかし、札幌市は34年大会の開催地候補が絞り込まれる11月末まで住民投票を行わない方針であることを表明し、批判の声があがっている。

 

そこで、本誌は札幌市のある北海道に住む人を対象にアンケートを実施。アンケートツールにて20代から70代の男女500人に「あなたは2034年以降の札幌市での冬季五輪招致に賛成ですか?反対ですか? 」と質問し、賛否を聞いた。

 

まず結果は、賛成が34.18% 反対が65.82%と反対派が多数となった。

 

反対派から最も多く寄せられたのは「オリンピック以外のことに税金を使ってほしい」という意見。札幌には「パートナーシップ排雪制度」と称する、市と町内会が除排雪費用を分担して行う制度があり、HTBによると、燃料費や人件費の高騰により市民負担は増加しているという。

 

《オリンピックにかける金があるなら札幌市民の暮らしの向上に使って欲しい。除排雪費用は市民の負担なしにするべき》
《札幌ドームの行く末も分からないのに、税金を投入し何をするのか?冬の除雪問題の方が喫緊の課題である》
《招致をしてどんなメリットがあるのか説明が足りないから。みんな除雪の税金がオリンピック招致に使われてしまうと思っている》

 

また、先の東京五輪での汚職問題にて、JOCに対する不信感を示す声も多かった。

 

《東京五輪のことでオリンピックに対する信頼がなくなった。経済効果より持ち出しの方が多いと思う。市税をオリンピックに使ってもらいたくない》
《対策を充分に検討しても、利権がからみ、汚職による税金の無駄使いが心配》
《東京五輪のゴタゴタを見ていると、オリンピックを開催するという事に意義を感じないし、まずは東京オリンピックで行われた不正などについて総括し、その様な不正について今後の対策を構築してから、オリンピックなどの世界大会を招致し、開催するべきだと思うから》

 

いっぽう賛成派のなかでも、税金の使い道がクリーンな状態での開催を前提とする意見は多い。新規の大型施設をたくさん作るより、既存の施設を改修して活用することで、費用を抑えつつ開催してほしいという意見も多かった。

 

《古い施設の改修が進み、それと共に既存の施設を活かして行えるのであれば、間近で世界を体感できる機会が有ることは子どもたちの成長に良い刺激になると思うので。子どもたちのためと思うとよりクリーンな状態で行われる必要が有ると思う》
《札幌で五輪を開催すれば、たくさんの人が集まって経済活性化に繋がったり新たな人脈を作れる機会になるから。政治家の人や関わる企業の役職持ちの人が汚職しなければいいだけ。税金の使い道として不適切だ、という言い分も理解できる。新たに施設を作るのではなく、今ある施設を活用して開催して欲しいと思う》
《前提として、東京五輪の汚職や疑惑が解明され、同じ事が起こらない組織であること。経済効果をうたうのではなく、既存の施設や環境をできるだけ生かした未来志向のメッセージ、平和や多文化、国際交流を高らかに掲げるものであること。子どもたちに勇気や希望を与えたい》

 

そのようなオリンピック開催に関して山積する問題を認識しつつも、地元での開催を望む声も一定数あった。

 

《色々な問題があるが自分が生まれ育った土地でオリンピックを生で見たいと思う》
《世界中の人たちに日本や北海道の良さを知ってほしいと思うから東京オリンピックの反省を活かしてクリーンな大会になることを信じているから》
《確かにたくさんの問題もあると思うが、自国で開催されると自分もいつもより興味関心が湧くし日本を知ってもらうきっかけは大事だと思うから》

 

市の抱える問題を適切に認識しつつ、東京大会で失った信頼を取り戻すような透明性のある運用方針を示さないと、市民の理解を得るのは難しいかもしれない。

 

【調査方法】

実施期間:2023年10月11日~12日
調査対象:20〜70代の男女500人
調査方法:クロス・マーケティングのセルフアンケートツール『QiQUMO』を使用

出典元:

WEB女性自身

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