「ドラマ『君の瞳に恋してる!』(フジテレビ系)が放送されたころは、テレビドラマの全盛期。街中を歩くと“月9の耕平くん”と役名で呼ばれることが多かったんです。でも、当時は若くてツッパっていたから“オレはオレだ”と、ブスッとしていました」
反省まじりに振り返るのは、大鶴義丹さん(55)だ。同ドラマに出演したのは、大学に入学し、本格的に役者を目指し始めたころ。
「16歳からNHKのドラマに少しずつ出演して、’88年に『首都高トライアル』という映画で初主演。多分それを見てくれたスタッフから、『今度、フジテレビで若者の恋愛群像劇を作るから』とオファーをいただいたんだと思います」
中山美穂と前田耕陽に加え、吉田栄作、藤田朋子、そして大鶴さんと菊池桃子が繰り広げるラブコメ青春群像劇。
「NHKでは社会からつまはじきにされて思い悩む少年役が多かったから、演じ方がわからなくて……。監督に『君ね、これ、ラブコメだよ、わかってる?』と呆れられました(笑)。それで前田耕陽くんに相談したら『楽しくやればいいんだよ』って言ってくれて。女のコから電話がかかってきてオーバーアクションで喜ぶ彼の演技を、よく参考にしていました」
売れっ子アイドルの前田や中山美穂は歌番組やCMの仕事もあり、多忙を極めていた。
「よく『寝てない』ってぼやいていましたけど、僕はテレビに出たばかりのいちばん下っ端。羨ましさもありました。女性アイドルにはベッタリとマネージャーがついているし、食事に誘うなんて許されない時代。だから共演者と遊びに行くなんてこともありませんでした」
吉田栄作は、まるで別世界の人間だったという。
「顔立ちといい優れた肉体といい、あまりにも生き物としての違いを見せつけられました。“芸能界というところは、こんな連中がウロウロしている。オレは性格俳優としてでしか生きていけないんだ”と、進むべき道を決めてくれた存在です」
菊池桃子の初キスシーンも注目された同ドラマ。その相手は大鶴さんだった。
「当時のドラマは、どのアイドルがキスシーンに挑戦するのかが話題になる時代だったから、それほど特別なことではなかったんです。その菊池さんとは’19年、内藤剛志さんの十津川警部シリーズで、30年ぶりに共演。千葉の勝浦で殺される役で『時間がたって、カップル役がだいぶ変わってしまったね』と、思い出話に花が咲きました」