性加害疑惑を全否定している伊東選手(写真:時事通信) 画像を見る

《メディアの取材源のみを訴える訴訟は典型的なスラップ類型の訴訟です。事実を見抜くプロであるメディアが掲載しなければ表面化しなかった事案ですから市民だけを提訴する訴訟は取材源とメディアを分断させる戦略が見え隠れし今後の同種の市民活動を萎縮させる懸念があります》

 

X(旧ツイッター)上でそう懸念を示したのは、弁護士の紀藤正樹氏だ。1月31日、「週刊新潮」はサッカー日本代表の伊東純也選手(30)の“性加害疑惑”を報じた。「週刊新潮」の報道によると、昨年6月に伊東選手と専属トレーナーの男性は、酔った女性2人と同意なく性行為に及んだという。

 

女性側は今年1月に伊東選手らを準強制性交等罪などで刑事告訴。一方、伊東選手側も2月1日に女性らを虚偽告訴罪で刑事告訴している。

 

さらに、2月19日、伊東選手側は2億243万3131円の損害賠償を求めて民事訴訟を行った。2億円が伊東選手の損害にかかわるもので、残りがトレーナーのものだという。賠償額が巨額になのは、今回の報道で複数のスポンサー契約が打ち切られ、大きな金銭的な損害を被ったためと伊東選手側は主張している。

 

今回の民事訴訟は女性のみが対象で、「週刊新潮」は訴えていない。冒頭の紀藤氏のコメントはこれを受けてのものだ。さらに、紀藤氏はこう続ける。

 

《真実追及というなら、新潮側も合わせて訴えるのが筋で、取材源を守る立場である新潮の出方も、この訴訟では注目されます》

 

■《女性を訴える戦略は有り》

 

紀藤氏と同様、訴訟の対象を女性に限定したことに疑問を呈したのはジャーナリストの江川紹子氏。Xでこうポストした。

 

《女性の訴えが広く伝えられ、伊藤選手にとって不利益な影響を発揮したのは『週刊新潮』が記事にしたからなのだが、その雑誌は訴えない、というのはいささか不可解》(「返信」で伊藤選手を伊東選手に訂正)

 

あくまで、女性は情報を提供しただけで、記事化したのは「週刊新潮」の行為であるということだ。

 

一方、元宮崎県知事の東国原英夫氏は伊東選手側の“戦略”に理解を示している。

 

《「伊東氏側は週刊新潮も同時に訴えるべき」という意見があるが、雑誌を訴えても「真実相当性」で逃げられる。よって女性を訴えるという戦略は有り》

 

報道に公益性があると認められた場合、仮に報道の内容に誤りがあっても、取材した側が取材を尽くし、真実であると信じるに足る理由があった場合、名誉棄損とならないことがある。一方、女性の場合は“真実相当性”は関係ない。

 

識者によって賛否が分かれた伊東選手の“2億円訴訟”。今後の活動への影響次第では、請求額は増額することもあるという。

出典元:

WEB女性自身

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