「打ち上げでスタッフからいただいたNG集のビデオは今でも見返すことがあるし、金粉が入ったドラマ特製のワインも飲まずに保管しているほど、『星の金貨』は思い入れの強いドラマ。主演の酒井法子ちゃんとは同じ年、高校でも同じクラスだったこともあって、法ちゃんの親友役に抜擢されたのだと思います」
こう語るのは、西村知美さん(53歳)。主人公には聴覚障がいがあるため、演技に手話が取り入れられた。
「私のファンに耳が不自由な方がいらっしゃって、ドラマに出演する前から、黒柳徹子さんが設立したトット基金が運営している手話教室に通っていたんです。ドラマが決まってからは、法ちゃんも一緒に通いました。手話では私が先輩でしたが、ドラマでは私が手話を勉強するという設定。ぎこちなく手話をするのに苦労しました(笑)」
手話よりも心配だったのは、方言だったという。
「第1話の台本をいただいたとき、私は東北訛りのある役でした。原作があれば世界観を壊せませんが、オリジナル脚本だったので『もしよろしかったら、出身の山口弁だとありがたいのですが……』とお願いして(笑)。おかげで方言の苦労はありませんでした」
当作品は、モデル出身の竹野内豊と大沢たかおが、俳優としてブレイクするきっかけにもなった。
「もっともインパクトが残っているのが、大沢さんと法ちゃんの別れのシーンです。ドラマ撮影も終わりが見えてきたときですから、気持ちが入ってしまったんでしょうね。大沢さんが本番で号泣してしまって。スタッフから『そこまで泣かなくていいので、もうちょっと抑えてください』って注意されたほど。でも、オンエアでは号泣シーンがそのまま使われていました」
竹野内とはキスシーンにも挑戦していたが――。
「私の事務所が水着やキスシーンがNGだったから、あれは“ふり”なんです。その後の竹野内さんの活躍を見て“OKしておけばよかった”と後悔しました(笑)」
とはいうものの、最終話では運命的なキャスティングもあった。
「竹野内さんへの想いを断ち切り、他の人と結婚するストーリーだったのですが、その相手を演じたのが、元アイドルグループの夫。当時は友達関係でしたが、ドラマから1年後、本当に結婚することに。だからこそ、『星の金貨』は私にとって思い出に残る作品なんです」
『星の金貨』(日本テレビ系・’95年~)
耳と口が不自由な看護師見習いの彩(酒井法子)と医師の永井秀一(大沢たかお)、秀一の腹違いの弟・拓巳(竹野内豊)の三角関係を描く。ダイジェスト版がきっかけで不幸すぎるストーリーとイケメンすぎる2人が話題となり大ヒットした。
【PROFILE】
にしむらともみ
’70年、山口県生まれ。’86年の映画主演デビュー以来、テレビ、ラジオ、映画、声優など幅広く活躍。現在、『加藤裕介の横浜ポップJ』(ラジオ日本)の月曜レギュラーなどをつとめる。6月1日(土)には『bjbコレクション』(玉川髙島屋)でトークショーに出演予定。