石破茂氏の勝利で幕を閉じた自民党総裁選。かつてない注目を集めるなか、総裁選の“風刺動画”が物議を醸している。
問題となっているのは、風刺コント集団「スケッチブック/SKITBOOK」が9月26日にYouTube公式チャンネルに投稿した「【総裁選】自民党アウトレイジ【パロディ】」と題した動画。
1分20秒の動画で、今回の総裁選候補者らに扮した役者が、タイトル通り北野武監督のヤクザ映画『アウトレイジ』風に演じている。
冒頭、《下克上》の文字と同時に「岸田の親分が降りる、どうするつもりですかい? 石破の兄貴」と子分らしき人物のセリフが流れると、屏風の前に座った石破茂氏を模した無言の人物が。
次に「ルールもクソも知ったこっちゃねえんだよ」とビラをポスティングする高市早苗氏に扮した女性が登場。これは同氏が総裁選の告示前に政策リーフレットを全国の党員らに郵送した問題を”風刺”しているようで、さらに画面には「高市早苗」とのテロップもついている。
続けて「レジ袋、有料にして何が悪いんだよ、この野郎!」と小泉進次郎役の男性がレジ袋を投げつけると、「コバポークじゃねえよ、コバホークだつってんだろ! ブチ殺すぞ!」と小林鷹之氏に扮した男性が怒鳴り、河野太郎氏や林芳正氏も次々と登場。「保険証廃止」「エレベーター」などの時事ワードを使ってヤクザ風のセリフが続く。
さらに、加藤勝信氏、茂木敏充氏と続き、上川陽子外務大臣に扮した女性が「誰のおかげで外交できてると思ってんだぁ〜あ?」と凄むと、続けて「Twitterブロックするぞ!」と河野氏、小泉氏は「政策なんかねえんだよ!」などといった調子で各候補者を次々とイジっていく。
そして、その中には、上川氏役の女性が「てめぇら全員死刑にしてやろうか?」とハンマーを振り回す描写も。
最後は『アウトレイジ』の予告CMでお馴染みの「全員悪人」にかけた「全員自民」というキャッチコピーが流れ、最後は立憲民主党の新代表となった野田佳彦氏風の男性が「我々も代表選したんですけどね。国ガチャ」と決めポーズをとってエンドロールが流れる。それぞれのシーンでは全員に実名のテロップがつけられていた。
この動画はスケッチブックの公式Xアカウントでもショート版が公開され、27日18時時点で3600件以上のリポスト、322万のインプレッションがつくなど拡散。《面白かったです。 石破さんの真似がめっちゃ似てます》《サイコー!》といった好意的な声もあったものの、批判的な声が並んだ。
《これ洒落になってない。風刺じゃなくて悪口だし実名出してる時点で誹謗中傷だし、かなり悪質。さすがに何か対応されちゃうんじゃないか? 典型的な「いじる相手のやさしさにつけ込んだ悪ノリ」。》
《これ風刺になってないんだよね ただの誹謗中傷では?》
特に問題が指摘されているのが、上川氏の「全員死刑」発言。外務大臣に任命される前は、法務大臣を歴任してきた上川氏は、’18年7月、オウム真理教事件で死刑が確定した麻原彰晃(本名:松本智津夫)ら死刑囚13名の死刑執行を命令したことでも知られている。同月中に全員の死刑が執行された。
今回の「全員死刑」発言はこれを踏まえたものとみられるが、上川氏の実名を出した上で「死刑」をネタにしたことにも批判の声が上がっている。
《面白くないうえに風刺にもなってない パロディって言葉つけたらなにやってもいいと思ってるんか 特に死刑ネタはライン越えすぎてる 朝日が鳩山邦夫に『死に神』と書いて大騒動になったの知らんのか 政治パロディするなら勉強しとけよ》
《え?これの何が風刺なん?どこがおもしろいん?上川陽子さんが法相時代にオウムの死刑囚の死刑執行を命じたことを揶揄するのはさすがにおかしくない?》