【前編】《ブレイク間近》ネコニスズ「おもしろ荘」優勝までに乗り越えた「解散危機」と「赤ちゃん」誕生の“意外なきっかけ”から続く
新年早々、お笑い界に“ニュースター”が誕生した。
大晦日深夜から元旦にかけて放送された『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)内の、恒例人気企画「おもしろ荘」で見事優勝を果たしたネコニスズだ。
ボケの舘野忠臣(41)と、ツッコミのヤマゲン(37)による2人組で、それぞれ別のグループでの活動を経て2012年に結成した。
これまで、レインボーやちゃんぴおんずなど数々の芸人たちのブレイクのきっかけとなっている「おもしろ荘」での優勝。ただ、2人の快進撃は少し前から始まっていた。
11月21日に行われた「M-1グランプリ2024」準々決勝の東京会場1日目で披露した、「赤ちゃん」になった舘野が電車内で痴漢に間違われるという漫才が、大ウケ。準決勝進出間違いなしと思われていたところまさかの敗退となったが、「M-1グランプリ」公式YouTubeチャンネルでの準々決勝のネタ動画は52万回と高い再生回数を記録し、「赤ちゃん漫才」の虜になる人が続出している。
そんな飛ぶ鳥を落とす勢いの2人に、今の手応えと今後の野望について聞いた。
――今の「赤ちゃん漫才」はいつ頃誕生したのですか?
ヤマゲン「ちゃんと“赤ちゃん”って言い出した漫才は去年の4月ぐらいからやり出して、そこからは“赤ちゃん漫才”しか作ってないです。不安はやっぱり不安でしたけど、『M-1』っていう大きい大会で。今まで良いと思って作ってきたネタがいつも上手いこといってなくて、良いイメージが自分らで作れてなかったんで。『嬉しい!』『赤ちゃん、受け入れてくれた』と思いましたね」
――芸人仲間やファンからの評判はどうですか?
ヤマゲン「みんな笑ってくれますね、面白いって。ひつじねいりの細田が赤ちゃんを面白がるのが一番早かったと思います。あとヤーレンズの出井ちゃん」
舘野「今回のM-1で新しく知ってくれた人が調べてくれて、昔の僕を見ると全然違うみたいな反応は最近見ました。(髪の毛も短い時期があったのは)バンドマンみたいになりたかったんで、当初は」
大爆発した準々決勝のネタは、かなり前から準備していたようだが……。
舘野「結構前からネタは決まってましたね。このネタは準々決勝でやろうみたいな。ちょっと変な話、赤ちゃんっぽくないですけど、戦略がはまったって」
ヤマゲン「でも戦略家とは思わないで下さい、マジで。12年間で初めて、舘野が考えたことがハマっただけで、あと全部外してます。僕はまだ信じてません。ここから策士みたいな顔をされるかもしれないという恐れが……」
舘野「さくちゃん(笑)」
ヤマゲン「いやいや、さくちゃんじゃなくて。でもあれ以降、やっぱ俺の意見あんま聞かんからな。準決勝行く想定でネタ選びについて話し合ったときに、僕は準々決勝のネタをブラッシュアップしてやりたかった。でも(舘野が)『違うネタをやる』って決めて。『いや、俺はこれをやりたいから1回ちゃんと話し合おう』って言ったらめちゃくちゃ怒ってた」
――舘野さんとしては「言うこと聞け」という感じだった?
舘野「(赤ちゃんで)うんっ!」
ヤマゲン「ダメダメ! んなコンビじゃないんだもん。結構話して決める方なんで、割といつもはやりたいネタが合うんですよ。今回合わなかっただけですけど。まぁどっちも良さはあるんで。
でも、手応えはすごいありますね。準決勝も『いった!』と思いましたしね(笑)悔しいですけどね」
――準決勝進出を逃したときはどんなお気持ちでしたか?
舘野「なんか悔しいより嬉しいが大きかった」
ヤマゲン「え? 落ちた時やで?」
舘野「(嬉しく感じたのは)数日経ってからです。最初は『うわっ何でだろう』って思いましたね。『何がダメだったんだろう』っていう」
ヤマゲン「漫才が終わって袖にはけた時に、僕らのネタを結構芸人たちが見ていてくれたんですよ。そんなこと今までなかったんで。その中にオズワルドの伊藤もいて、『どうやった?』って聞いたら『100%行ったっす』って完全に言ったんで。決勝に何回も行ってる奴がそんなん言うぐらいやから、『はい確定!』とか思って、僕は家でご馳走を用意してたんですよ。友達を招いて準決勝進出者の発表を一緒に見てたんですけど、地獄みたいな空気になりましたね」
――舘野さんが時間が経ったら嬉しくなったのは?
舘野「『なんで落ちたんだ』みたいなのも、芸人さんもめっちゃ言ってくれて。みんなが不思議がってくれるのは嬉しかった」
ヤマゲン「スーパーマラドーナの武智さんもXで”なんで落ちたんかわからへん”みたいに言って下さったのは嬉しかったですね」
舘野は芸歴21年、ヤマゲンは17年と、紆余曲折を経てついに掴み取ったブレイクへの道。今後さらなる仕事が舞い込んでくることが予想されるが、挑戦してみたい仕事を聞くと――。
舘野「(赤ちゃんで)なんだろねぇ~。CM~!。アカチャンホンポと西松屋のCM」
ヤマゲン「売れへんくなるやろ。僕は『アナザースカイ』(日本テレビ系)みたいな旅番組ですね。海外行きたいです。(舘野に)恋愛リアリティショーのスタジオとかいいんちゃうん?」
舘野「嬉しいかも。『テラスハウス』めっちゃ好きだった。実は『テラスハウス』に出演者として応募もしてました。37歳ぐらいの時に」
ヤマゲン「その時からやっぱ変でしたね。めっちゃ出てほしかったですけどね。めっちゃおもろかったと思います」
赤ちゃん漫才で脚光を浴びるネコニスズだが、ヤマゲンはいたって冷静だ。
ヤマゲン「色んな人に今回のことですごい見てもらえて、こんなに反響があって。“舘野が可愛い!”ってなってる人には、目を覚ませとは思いますね。可愛くはないぞっていう。俺、最近見てんけどさ、『赤ちゃんの横の奴』って書かれてて。赤ちゃんのファン、マジで赤ちゃんにしか差し入れしないんです。俺だってお肌のやつとかほしいです(笑)。俺だっているやろ?」
舘野「肌、めちゃ綺麗」
ヤマゲン「どこが綺麗やねん!」
とはいいつつも、2人とも見据えているのは、やはり昨年のリベンジだ。
ヤマゲン「でも、単純に『M-1』ですね。決勝、というか優勝したいです、ホントに。赤ちゃんに磨きをかけて、赤ちゃんで行きます」
舘野「(赤ちゃんで)赤ちゃんはやっぱ、みんなが可愛いって言ってくれるんで、その期待に応えて1番可愛くなりたい!」
ネコニスズが日本を席巻する日はすぐそこまで来ている。