ハンストを続ける平山さん(写真:Fathoer Rahman) 画像を見る

「防衛省が、“イスラエル製ドローン”の入札を取りやめてくれるまで、ハンストを続けます。少なくとも入札日の2月17日までは、ここに居座るつもりです」

 

そう話すのは、「ジェノサイドに抗する防衛大学校卒業生の会」(以下、防衛大卒業生の会)代表の平山貴盛さん(29)。

 

最低気温が1℃を下回る厳しい寒さの中、1月26日から防衛省前でハンストを続けている。初日には、防衛大臣および防衛装備庁長官宛の要求書を防衛省職員に手渡した。

 

平山さんが身を挺して訴えるのには理由がある。防衛省が現在、パレスチナ自治区ガザ地区で多数の民間人が犠牲となる軍事作戦を続けているイスラエルの軍需企業から、武器を購入しようとしているからだ。

 

ガザ保健当局によれば、2023年10月の戦闘開始以来、犠牲者は7万人を超え、その約4割が女性や子どもだという。さらに昨年10月の停戦以降も攻撃は続き、中東メディアによると、すでに500人以上が命を落としている。

 

こうした状況にもかかわらず、防衛省は2025年度予算で、イスラエル製の攻撃用ドローンの購入費用を初めて計上した。問題となっているのが、近距離から車両などを攻撃できる「小型攻撃用ドローン1型」だ。

 

「1機種あたり310機、総額は約32億円です。現時点で候補となっている4機種のうち、2機種がイスラエル製です」(平山さん)

 

小泉進次郎防衛大臣(44)は、定例会見で「特定の国の装備品取得を予断することなく、我が国の防衛に必要な装備品の適正な調達に努める」と繰り返している。しかし、防衛省が機種選定のために行った実証試験では、7機中5機がイスラエル製だったという。

 

■“国際法違反”を不問にしないでほしい

 

「イスラエル製兵器の性能が高いのは事実です。なぜ性能が高いのか。それは、ガザの惨状を見れば分かる通り、パレスチナ人への攻撃を通じて“実戦テスト”が行われてきたからです」(平山さん)

 

平山さんらが防衛省の動きに気づいたのは、2024年2月頃。市民団体と防衛省との交渉を通じて、実証試験にイスラエル製機体が多数含まれていることが明らかになった。

 

「これはおかしいのではないか、という声が防衛大学校の卒業生の間で広がり、2024年3月に防衛大卒業生の会を立ち上げました」

 

反対の理由は、単なる感情論ではないと平山さんは強調する。

 

「イスラエルが行っているのは、国際法違反であり、力による現状変更です。日本政府はロシアによるウクライナ侵攻を受け、『侵略戦争は認めない』と繰り返し強調してきました。 にもかかわらず、イスラエルの行為を不問にし、兵器まで購入するのは明らかなダブルスタンダードです」

 

国連人権理事会の独立調査委員会も、イスラエルによるガザでの行為について、「ジェノサイドに該当する可能性がある」と指摘する報告書を公表している。さらに問題なのは、武器は「買って終わり」ではない点だ。

 

「部品交換や整備、修理を通じて、長期にわたりイスラエルに資金を落とし続けることになります。結果として、虐殺に投資し続ける構造になってしまうのです」

 

■「武器輸出入への国民的な議論が必要」

 

そもそも攻撃用ドローンとは、どのような兵器なのか。防衛ジャーナリストの半田滋さんはこう解説する。

 

「自衛官の犠牲を最小限に抑えつつ、相手に大きな打撃を与える兵器です。ロシアのウクライナ侵攻を機に使用が広がりました。戦車に比べて費用が安く、費用対効果が非常に高いのが特徴です」

 

今年1月には、自民党の小野寺五典・安全保障調査会長ら超党派の議員15人が、イスラエルを訪問し、最新兵器を視察したことも批判を呼んだ。

 

半田さんは、「ドローン購入にとどまらず、将来的には武器の共同開発に進む可能性もある」と警鐘を鳴らす。

 

「政府・与党は、これまで歯止めをかけてきた殺傷能力のある武器の輸出についても、ルール変更を進めようとしています。日本がどこまで関与するのか、国民的な議論が不可欠です」

 

戦後80年にわたって築かれてきた日本のあり方が、いま大きな岐路に立たされている。極寒の防衛省前で、2月17日の入札日までハンストを続ける平山さん。防衛省がどのような答えを示すのか、注目される。

 

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出典元:

WEB女性自身

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