8月1日、’21年の就任から5年の節目を迎えた兵庫県の斎藤元彦知事(48)。この間、パワハラなどの内部告発で不信任決議を受けたことに伴う出直し選もあったが、会見で5年間の自己採点を求められた斎藤氏は「点数を付けるのは難しい」としつつ、自ら問題に触れることは一切なかった。
いっぽう、’24年の出直し選に関与した兵庫県内の企業が、今年で10期目の節目を迎えていた。それは、西宮市のPR会社「株式会社Merchu(メルチュ)」だ。
「出直し選の直後、メルチュの代表取締役社長・折田楓氏(33)は自身のnoteで《(斎藤知事の)広報全般を任せていただいていた》とし、プロフィール写真の撮影やキャッチコピーの考案、SNSの運用などを行ったと述べました。いっぽう、斎藤陣営はポスターやチラシデザインなど制作費として同社に71万5000円を支払っていました。もし、折田氏が主体的に選挙運動を行い、報酬を受け取っていたのであれば、公職選挙法で禁じられる買収・被買収にあたる可能性がありますが、斎藤陣営はあくまでも“ボランティア”だったと主張。刑事告訴もされていたのですが、結局、斎藤氏、折田氏共に’25年11月に嫌疑不十分で不起訴処分となっています」(社会部記者)
昨年11月22日、不起訴処分となったことを受けて、自身のインスタグラムで《不正な対価の授受はもちろんのこと、いかなる不正行為の事実も断じてございませんが、私の発信により誤解を招いてしまったことを深く反省しております》とコメントしていた折田氏。以降は日常的な風景を織り交ぜながら近況を報告してきたが、今年7月31日、会社が10期目を迎えたことで、自身名義のnoteも更新していた――。
折田氏がnoteを更新するのは、疑惑の発端となった記事を掲載した’24年11月の出直し選直後以来だ。《Merchu(メルチュ)10年目の節目に、あらためて「自分の言葉」で伝えたいこと》と題した今回の記事は、社員による折田氏へのインタビューで構成されており、冒頭、折田氏はこう語っている。
《過去に私のnoteが炎上してしまってから更新が止まっていたんです。そのままフェードアウトする選択肢もありましたが、これまで応援してくださった方々に向けて、現状や想いを自分の言葉で直接届けたい。そう思って、今回この場所で再び発信することに決めました》
さらに、記事中ではインタビュアーによる《10期目という節目を見つめ直すにあたって、一昨年・去年のできごとの存在はやっぱり大きかったのかなと推測しています。当時のことをどう振り返っているのか、可能な範囲で教えていただけますか》との質問も。もちろん、これは’24年の出直し選から昨年末の不起訴処分に至るまでの過程だろう。
折田氏は、《当時は、オフィスや自宅、娘の通う保育園にまで記者が殺到してしまって、近隣の皆さま、お客さま、社内メンバー、友人や親族を含めた周りの人たちにまで迷惑が及んでしまったことはとても辛かったですね》と振り返りながら、《怖い思いもたくさんしましたし、正直本当に苦しかったです》と吐露し、こうも綴った。
《「こうやって人は自殺してしまうんだな」という精神のギリギリの淵まで行っていた気がします》
そうした精神状態で日々を過ごす中、地域の人たちや会社のメンバーの支えが励みになっていたという。また、内部告発文書に端を発する一連の問題をめぐって、SNSでは様々な声が飛び交ったが、折田氏は《一昨年・去年のできごとを経験して、信頼していた大手メディアでさえ事実と異なる発信をすることがあり、受け手側も情報の信憑性を確かめずに声の大きな意見を鵜呑みにしてしまう現状があるということを強く感じました》と述べ、こんな“危機感”を抱くようになったという。
《売れるために過激な表現を用いたり、ストーリーを描いたりするのにも違和感を覚えますが、事実ではない情報や悪意に満ち溢れた表現が平気で流れていく状況に直面した時に、「このままの日本で良いのだろうか」という気持ちがだんだんと芽生えてきたんです》
AIの発展が著しいが、折田氏は《「誰がどのように情報を発信するのか」「どのように情報を受け取り、自分の意見を持つのか」というスタンスについては、今がまさに転換期だと思うし、何より「一次情報」の重要性や価値が益々高まってきていると感じます》と指摘し、《「マスメディアが……」「SNSが……」といった議論の前に、情報の出し手も受け手も、その責任や自覚を今一度捉え直していく必要があるのではないかと思っています》と主張していた。
